優しい街


2017年10月05日 読了
 主人公の探偵は、名古屋から上京していた実業家から、いなくなった娘を捜してほしいという依頼を受け、娘の行方につながりそうなTwitterの履歴をさぐる。
ただの家出娘かと思っていたら、見つけた娘が自宅で殺されていた。

 タイトルとはそぐわない不穏な表紙。
「あぽやん」のほのぼのとした作風とは全く違ったハードボイルドの世界だった。
しかし、探偵のキャラクターがいまいち弱く、信念を語ってもどうもそれがうまく結びつかない感じが最後まであった。Twitterのアカウントを使い分けている若者たちと関わり、アカウント名がたくさん出てくるわりにはどれも薄い登場で印象に残りにくくて混乱が大きかったため、読み切ってもなんとなく満足感がない。

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髑髏城の花嫁 (Victorian Horror Adventures 2)


2017年09月05日 読了
 クリミア戦争から祖国への帰途、エドモンド・ニーダムと戦友であるマイケル・ラッドは、奇妙な使命を負う。
瀕死の青年を彼の母の実家まで送り届けてほしいというものだった。
その名も奇妙な「髑髏城」。

 昔の翻訳小説のような文体と流れで、上流階級の不可思議な人物と依頼に興味はわくが、どことなく話も読め、特に印象深い部分も残らず、さらりと読み終わる。
シリーズになっているらしい。

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囚われの盤


2017年09月02日 読了
 かつて師と仰ぎ、信頼し、許嫁として恋していた相手に裏切られ、仇を打つためだけに生きてきた盤。
旅をしながら彼女を探し続け、やっと見つけてチャンスを得たと思った時、彼女もまた強い意志を持って自分のそばにいたのだと知る。

 話のほとんどが逃げ、旅をし、苦難を受ける日々で過ぎる。
憎しみとはいえ、それほど強く長く思い続けた相手に出会った時、自分はどうなるのか。様々な力に翻弄されながら生きる盤の旅は、もっと充実した日々であったはずなのに、割とあっさり読み進められてしまう。物足りなさが大きい。
そういえば前作の「小旋風の夢絃」も、読んだことは覚えているのに内容はさっぱり記憶にない。

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サーベル警視庁


2017年08月23日 読了
 明治38年。誰もが日露戦争の行方を見守る中、帝国大学の講師が殺された。
警視庁第一部第一課の面々は、私立探偵だという西小路を操作に紛れさせ、被疑者の割り出しに向かった。

 明治、警察の組織が何度か改変され、政治的なしがらみが強い中、次々と起こる手口が一致した殺人。
連続殺人として捜査が始まったものの、他所からの圧力や政治的背景についての講釈が割と多く、少し堅苦しい。
捜査員たちの感じた違和感や推理が解決につながるのだが、それよりも立場と政治についての印象が強く、素直に楽しめなかった。

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源氏物語 第1巻 (1)


2017年07月28日 読了
 源氏物語の「桐壺」~「賢木」までを、大塚の解説と共に追える。

 解説が面白かった。
時代背景、その当時の人々の考え方、身に着ける物にまで、いろんな面で解説があり、源氏がした行動の意味や、なぜそんな言葉を選んたのかなどが書かれていて、興味深い部分が多い。
話自体は面白いと思えなかったが、その時代への興味はわいた。

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ひとめぼれ


2017年07月05日 読了
 町名主の跡取り・麻之助。
友人の二人はもう身を立てているというのに、麻之丞まだお気楽な身分。それゆえ、立場を気にする人たちの代わりに様々な揉め事の間に立つ。

 縁談に関する話が6つ。
「しゃばけ」シリーズと違ってこちらは人外が出てこないため、突拍子もないようなことは起こらず、内容も人間関係も忘れがち。
揉め事の治め方も、勘や都合よく起こる出来事などで終わり、飽きが来る。

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東京帝大叡古教授


2017年07月01日 読了
 明治三十八年、夏休みを利用して熊本から上京してきた少年は、帝大の叡古教授の下へと向かう。
するといきなり、帝大の図書館で死体を見つけてしまい。。。

 連続殺人が起こり、その解決に走り回る少年。
登場人物の生い立ちやその子供たちの来し方まで細々と説明があるためやたら長い。そのうえ、それぞれの話は興味深くても全体の事件に関してはなんだかぼんやりしていて充実していたとは言えない読後感が残る。

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ルパンの娘


2017年06月21日 読了
 仕事帰りのデート中、三雲華は、恋人の桜庭和馬の家に行くことになった。しかし緊張して玄関に入った途端、この恋の終わりを予感する。

 華の家族は先祖代々一家そろって泥棒家業。対して和馬は刑事一家だった。

 ホームコメディのドタバタが賑やか。
最後はすっかりハッピーエンドで丸く収まる。
あまり深刻ではないから読みやすくて楽しく終われる。

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防諜捜査


2017年06月07日 読了
「ゼロ」研修を終えた倉島。
所属は外事1課のまま、特別な任務「作業」を開始することになった。
それは、駅でロシア人ホステスが死んだことから始まる。

 ロシア人女性の死が、自殺とは思えないとつかみどころのない違和感を感じていた倉島。わずかな引っ掛かりから事件を突き詰めていくのはいつものパターン。
でも、殺し屋ヴィクトルが名前だけでも登場するわりにはあっさりといつものように進み終わる。
「曙光の街」の頃の密度はない。

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オランダ宿の娘


2017年05月09日 読了
 オランダから幕府への使節団が泊まる宿「長崎屋」。
そこの娘である”るん”と美鶴は、自分たちの家を誇りに思い、オランダからの使節達との交流を楽しんでいた。
 ある時、シーボルトの求めた品をめぐり、何人もを巻き込む大事件となっていった。

 淡々と出来事を並べ、感情を押し込めるような文体で大きな出来事をなぞる。
だが、辛さゆえに感情を押し殺しているというよりはうわべをなぞっているように感じ、教科書のような、どこに重点を置いているのかわかりにくいものになっていた。結局あまり印象に残らないものになり、すぐに忘れてしまう。

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オランダ宿の娘 (ハヤカワ・ミステリワールド) [ 葉室麟 ]
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