2013年05月30日 読了
江戸の下町で暮らす人々の、ちょっとのため息と共に訪れる幸せの物語。
料理茶屋で働く女、自分のことを神仏の化身であると言う男児、行方知れずのままの娘を諦めきれない旦那。
市井の暮らしを描く話の中でも、わりと後味がいい本。
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読書と手芸の記録
2013年05月30日 読了
江戸の下町で暮らす人々の、ちょっとのため息と共に訪れる幸せの物語。
料理茶屋で働く女、自分のことを神仏の化身であると言う男児、行方知れずのままの娘を諦めきれない旦那。
市井の暮らしを描く話の中でも、わりと後味がいい本。
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2013年04月23日 読了
自慢の剣の腕を貸し、利息を取るという貸腕業の吉岡清三郎。
胡散臭い客からは1日1両や20両とふっかける。それでも腕は確かなので、仕事はきっちりとするという、律義な男。
表情や機嫌の表現がとても面白い。
不機嫌だったり品のなさだったりの、どちらかと言うとあんまりリアルに思い描きたくないものがおかしな例えで書かれていて、不気味さを和らげてくれる。
情に厚くもなく、冷酷なところもあり、ヒーローや紳士では決してないが、頼もしさはとてつもない。
好きな部類の話。
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2013年04月10日 読了
少女娼婦のルーン=バロットは、賭博師シェルによって殺された。
そしてバロットは、彼の指を飾る指輪になるはずだった。ブルーダイヤになって。
長編SF。
バロットは、委任事件担当官である金色の毛皮を持つネズミのウフコックと、ドクター・イースターによって助け出される。
それからのウフコックとバロットの恋や、卵型の楽園、シェルのカジノでの賭け、ウフコックのかつての相棒との戦いなどが、すべて他の宇宙の出来事のよう。
長くてダラダラとするところもあったが、すべての光景が楽しく想像できた。
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2013年04月06日 読了
第57回江戸川乱歩賞受賞作 。
文化人類学を研究している仲澤大輔のところに、18歳の女子大生・真由が訪ねてくる。
祖父を呪いで殺されたというその真由に頼まれ、真相をさぐるため呪いをかけた呪術師を探し始める。
呪いで人は殺せるか。
最初から引き込まれた。
「呪い」という分野や歴史、各地に残された風習など、興味をそそるものばかり。タイトルにもなっている歌のような念仏も。
最後の決闘シーンといえる部分は少し違和感があったけど、とても楽しかった。
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2013年04月03日 読了
幻想怪奇譚。怒ると火を生む女、カメラに写らない友人、石を崇拝する島。
いくつかの、現実のそばにある摩訶不思議な物語。
シリーズだったようだけど、これだけ読んでも面白い。
不思議な火を発する女が印象深くて、彼女の言葉にいつもにやりとした。
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2013年03月14日 読了
川辺で釣りをしていた少年たちが侍の屍体を見つけ、その後子供たちは次々と死んでしまう。
その頃、手習塾の娘は狐憑きだという噂も流れており、さらに夜中にうろつく不審な影にも悩まされていた手習塾の師匠は、左門に相談を持ちかけた。
剣術師範候補の甚十郎に手伝わせて張り込みを始めた左門。
ひどい怖がりのためこれまでいくつもの縁談を断られてきた甚十郎も、少しずつ頼もしい面が見られるようになってきた。見合い相手まで見つかり、これで彼も一人前かと思い始めていたら、やっぱりそうはいかなかった。
素直に怖がる甚十郎と、それを笑いながらも認めている周り者のたちの、あんまり怖くない幽霊話。
このシリーズはいつもわくわくする。幽霊話なのに。
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2013年03月12日 読了
ひっそりと佇む百姓屋に、幽霊が出るという噂が左門のところに入ってくる。
そこは人死にが続き、持ち主が変わっても次々と死体が転がるので幽霊屋敷と評判だった。
いつものように様子を見に行った左門は、「あれは本物だ。近づかないほうがいい」と言って興味を亡くしたようだったが。
幽霊屋敷を買おうとする者たちに、一晩泊まって噂は本当かどうか確かめてほしいと依頼されてしまう鉄之助と甚十郎。
いつもなら生き生きと顔を突っ込む左門がいないせいで、とんだ災難に見舞われるのだが、左門は本当はいろいろと気付いたらしい。
人物の関係図がややこしいのでたびたび戻りながら読むことになったが、却って疑問や時間のずれなどを考えることができて楽しく読めた。
左門は頼もしく、甚十郎は成長が楽しみ。
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2013年03月05日 読了
今にも倒れそうなおんぼろ長屋に住む、貧乏人たちの日常。
大店をだまし取られた兄妹、身長差のありすぎる駕籠かき、下手と評判のあんま。
長屋に住む、何かと気になる人たちがちょっと困ったことになった時、日がな一日飲んだくれている浪人が知恵と力を貸す。
近頃急に江戸ものの小説が増えた気がしていたら、その通りのようで。
これもありふれた貧乏話だけど、強面の浪人がとても味な役で面白かった。
落ちぶれても武士の赤目勘兵衛の粋な立ち回りが、ほっこりとする良い読後感を残す。
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2013年03月03日 読了
元大物政治家・大堂剛の事務所で働いている聖は、就職活動を始める。
しかしエントリーしてもいない会社から内定通知が来たり、半年のインターンが2カ月でクビになったりと、おかしなことがとまらない。
シリーズ2巻目。
食わせ者の大堂は、面倒なことは嫌いだが暇も嫌いで、周りの物を振り回す。
それに鍛えられている聖は、めったなことでは負けない。
今回も、聖を困らせようとする者たちには必ず意趣返しをする。
その強さと臨機応変が頼もしい。
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2013年03月01日 読了
代々木公園にある都市伝説。
3月の最後の日曜は、誰かが姿を消し、代わりに誰かが現れる。
楽しげな表紙とは裏腹に、どんどん人が死んでいくホラーな内容におののきつつ、それでもなんだかコメディのようで、さらさらと読める。
複雑に入り組んだ人間関係が、最後はひらりと解けるのではと思っていたが、きちんと伝説通りになった。
しかも後味は悪くない。
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