事件持ち


 入社2年目の新聞記者・永尾。
県警の記者クラブで毎日刑事を追求する日が続いていたが、ある日千葉で起こった殺人事件を追っていると、偶然被害者2人を知る不審な男・魚住優を接触する。
そして事件の関係者には、中学時代のつながりがあった。
その後、魚住は失踪し、重要参考人として警察からもメディアからも追われる身となる。
一つの事件を、刑事側、記者側の両方の目線で追う。

 被害者の遺族を追い回し、悲嘆にくれる家族からコメントを取ろうとする記者は、果たして必要な存在なのだろうか。
そんな悩みを持ちつつも、他社を出し抜いたスクープを取ろうと必死な永尾。
そして、社会人になってから、今更中学の頃の恨みを晴らすために殺人などするだろうかと疑問に思う警察。
お互い明かせない秘密だらけだが、終盤ではある種の仲間意識さえ生まれてくる。
言葉にはしない空気感を読み、本意を察知する。
大きな事件に縁があるというのは、察知能力の差か。

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