四季彩のサロメまたは背徳の省察


2015年06月19日 読了
 私立高校の朗読部の主・華影忍は、〈歩く女百科全書〉を自称するほど全校の女生徒を知り尽くしていた。あらゆる意味で。
そんな朗読部の後輩・通称「カラス」と、ある姉妹に振り回された1年を綴った物語。

 魅力的な太腿をもつ女性を手に入れるために忍が行った行為、どうやらライバルであるカラスに放つ罠。それまでは楽園での権力を甘受していた忍が、その姉妹によって狂わされ、陥落していく事すら快感だと思わされる様子が美しく描かれている。
魅惑的で背徳感いっぱいの世界に、冷静でいるつもりがいつの間にか溺れていく忍と一緒になって溺れられる。

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