江戸に、動物の病を見る医者がいる。
腕は確かだが不愛想な医者の凌雲と、幼いころから凌雲を思い続けていた妻・お美津。
3匹の犬と1匹の猫、そして別嬪で口が達者な幼馴染のお仙と共に、にぎやかな毎日をすごしていた。
ある日、お仙が子供を連れてやってくる。
動物と子供は違うと断るお美津だが、お仙の押しの強さに負けて引き取り一緒に暮らしはじめ、毛玉堂はますますにぎやかになった。
動物専門の医者である凌雲は、以前は人間の医者として名を馳せていたのだが、とある事件をきっかけに心を閉ざしてしまう。
そんな凌雲を支え、妻となったお美津の、うれしいけど悲しい心がしみじみと伝わってくる。
凌雲とお美津の動物好きと、お仙の美しさと強かさが軽い口調で楽し気に描かれているので、動物たちの生き死にの理不尽さによる悲しみは薄らいでいて、楽しい記憶だけが残る。
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