変死体(上)


 米軍監察医務局で半年間の研修を受け、明日には帰るという日、スカーペッタはマリーノとルーシーにヘリで法病理学センターまで送られる。
スカーペッタが責任者となっているその新しい仕事場は、自分のいない間に無法地帯となっており、そこへ運び込まれた遺体が冷蔵庫の中で大量の血を流すという、常識では考えられない現象が起きていた。

 タイトル通りの変死体が何者なのか、また死んでいたはずの遺体から血が流れだすということがなぜ起こったのか。
事件を追う本筋は興味をそそるが、大半はどうでもいいことでつぶされ、忘れた頃にやっと次の情報が出てくる。
そのため、多くのことを忘れている。
これまではマリーノを気の毒なくらい貶めていた流れが、今度は長年の部下であるフィールディングに向かっていて、好青年を一気に「使えないおじさん」にした。
本来の事件の話はたまたま今手を付けている仕事なだけとでもいいたげな軽んじた扱いになっているのが残念。
とても興味深い事案なので、早く本来の仕事をしてほしい。

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