歓喜の歌 博物館惑星Ⅲ


 地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館苑〈アフロディーテ〉では、創立50周年記念のフェスティバルが計画されていた。
企画に沿って集められる美術品。その中で、実は巧妙なトリックですり替えられた贋作が混じっていたことが発覚する。
さらに、遮断された地域で守られている遺伝子操作された生物たちや、以前のように輝く笑顔に向き合えなくなった写真家、後悔のぬぐい方を知らない者など、あらゆる人たちを引き付ける。

 様々に揺れ動く感情と、膨大なデータベースを持つ最新の技術たち。
正反対に位置するようなものを同時に並べているのに、違和感なくすべてを素晴らしいと思える環境。
 ふれあいを知る術がなくて打ちひしがれるAIやカルタヘナ法をすり抜けて作られた美しいタマムシ、小型ドローンの<虫>や<鳥>、面白い技術がたくさん出てくるので飽きないし、そのうえで大事にされているのは人の心だったりする。
そんな〈アフロディーテ〉は、突拍子もない魔法みたいなものではなく、もうすぐ実現しそうだと思えてきてわくわくする。

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