2019年10月10日 読了
平安の頃、本朝始まって以来の凶事と安倍晴明が占った日に生まれた子がいた。
髪は赤く、彫りの深い顔立ちの桜暁丸は、自分たち以外をさげすむ京人達を憎んでいた。
第10回 角川春樹小説賞受賞作
様々な渾名で蔑まれていた京以外に住む者たちと共に、どんな生まれであれ皆同じ人だと言える世を作ろうとあがいた、桜暁丸の戦いの半生。
桜暁丸が誰であるかは後半で解るし、信念を持った戦いの描写は緊迫感がある。
ただ、つぶやきや心中を語る描写がややうざい。
この先を想像させる終わりも、これまでの力強さに比べると肩透かしを食らったように弱い。
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