根室で生まれたミサエは、孤児のため、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られた。
しかしそこでは一家にこき使われ、見かねた出入りの薬売りに見込まれて薬問屋で奉公することになる。
そこで学んだミサエは、戦後に保健師となり、また根室に戻ってくる。
1人前になったとはいえ、吉岡家からの不当な扱いは変わらず、見合いで結婚させられ、子供を設けるが長女は自死を選び、次の息子は生まれてすぐに養子に出してしまう。
一人の女の、過酷な人生。
勉強をして、職を得て、独立したにもかかわらず、周りに流されるまま見合いをして結婚し、自分勝手な男に違和感を感じながらも尽くす。
なぜ自分の意見を言えないのかとイライラした。
自立しているのに断れないのは性分だとしても、嫌な感情ばかりが湧き出る第1部だった。
第2部は、養子に出された息子・雄介からの目線だが、吉岡家の息苦しさはまだ残り、狭い集落の生きにくさをこれでもかと出してくる。
雄介が最後に決めた生き方だけが、強さを示して終わる。
時折現れる白い猫が癒しの瞬間で、それ以外はたいてい苦しい出来事だった。
不気味なタイトルだが、「人は誰もが誰かを締め上げ、締め付けられながら生きていく」という様子がよくあらわれている。
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