先祖から受け継いだ芦屋山手のとある屋敷に住む「先生」と呼ばれている一人の男性。
彼が畑仕事の最中に土の中から見つけた白い器。欠けたりもせずきれいであったので「先生」は洗って日々の茶碗として使っていた。
しかしそれは、長時を経て付喪神となった白天目茶碗だった。
「先生」は彼をシロさんと呼んで、同じように付喪神となった器たちと賑やかな日々を過ごす。
かつての権力者たちに愛され、現在は行方不明となっている器たちが付喪神となり、お茶席の時に集まっては思い出を語る。
実在した器たちが、誰の元で、どんなふうに使われていたかが語られるため、歴史としてみれば面白いのかもしれないが、主人公のシロさんや付喪神たち、持ち主の「先生」も含めてキャラクターとして登場しているのに個性が薄くて読んでいて少しも面白くなかった。
物語にするのか、器の歴史を追うのか、中途半端な印象だけが残る。