忘らるる物語


 星卜で「皇后星」に選ばれた環璃は、次の帝を決めるための儀式のため、真珠で飾った輿に乗せられ、4つの国の王の元を順にめぐる。
そこで王と寝て、子ができればその王は次の帝となる。
住んでいた国を滅ぼされ、夫は殺されて子は連れ去られた。もう何も持たない環璃にから、まだ心を奪う儀式は続く。
そんな時、山賊に襲われた環璃を助けたのは、昔から女だけに伝えられてきた不思議な場所から来た、不思議な力を使う女性・チユギだった。
そして環璃はチユキと約束をする。

 男が支配する世界を変えたいと願い、復讐を誓う環璃が、国々で見聞きしてきたことで学んでいく様子が生々しく綴られている。
「トッカン」や「上流階級」の世界との落差が大きすぎてとまどうが、強烈な出来事や言葉たちが次々と押し寄せてくるのであっという間にその世界にのまれてしまう。
予想される結末ではあったけど、それまでの物語の迫力に押されてそんなことで落胆する余裕もなかった。

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