神の手 (下)


 遺体の体内から見つかった薬莢は、2年前に押収されたショットガンだった。
殺される直前には、庭のグレープフルーツの木に今はもう使われていない印をつける不審な人物が目撃されている。
また別のところでは、ベントンが調査していた被験者である囚人のDNAが、ルーシーが探していた魅惑的な女性と一致したりと、不可解なことが続く。

 ひどい経験が起こした人格障害が、今回のカギ。
不審な行動をする人物が多くて混乱したが、みな同じ要因だったことで納得はいくが、すっきりしない。
突然終わる結末が、すべてを解明されたわけではないような気がするためで、せっかく複数の人の目線で書くことに変えたのに、スカーペッタやベントン側以外からの解釈がされずに終わっているせいである。
書き方を変えたのは犯人側からの目線を盛り込むためではなかったのか。

まっすぐ編みのカーディガン


使用糸:ハマナカ ソノモノロービング (92)
編み図:太糸あったかニット より
     「まっすぐ編みのカーディガン」345g

神の手 (上)


 元FBI心理分析官ベントンは、収監中の殺人犯の脳を調べることで、殺人犯の心理を知ろうとしていた。
面談のなかで未解決事件の手がかりを得た彼。そして、発見された惨殺死体に残された手形と、手形を付けた女と出会ったルーシー。
それらのつながりは。。

 会話のかみ合わない殺人犯と向き合うのは、さぞストレスのたまることだろう。
スカーペッタの影が薄くなったかわりにマリーノは頑固さが濃くなり、ルーシーは大きな悩みを抱えていて、どんどん混沌としていく。
ルーシーは恋人も仕事の相棒もころころと変え、目まぐるしく移り変わる視点と共に混乱が大きくなる。
いつものようによくわからないままの前半。

痕跡 (下)


 死因不明の少女の口に残っていた微物と、その2週間後にトラクターに轢かれて死んだ成人男性の遺体に残っていた微物が同じものだったことで、ミスでなければ何らかの関連があるとして調べ始めたスカーペッタ。
次第に気づき始める不穏な監視者の元へ、スカーペッタはマリーノとルーシーの手を借りて乗り込んでいく。

 今回はマリーノが大した失敗をやらかす。
そのおかげで得たものはマリーノの大嫌いな変態たちの性癖の情報だった。
彼はいつも損な役ばかりな気がして気の毒になる。
そしてこれまでの性格異常な犯人とは違い、陰湿に思い詰める犯人だったせいで、マリーノが得意な追い詰め方をした。
この事件はマリーノのための事件だったのかもしれない。
 ところで、伏線としていろいろ張られていた出来事は大きな絡みにもならず、やっぱりいらなかったんじゃないかという気もする。

痕跡 (上)


 法医学コンサルタントのスカーペッタは、かつて自分が就いていたリッチモンドの現検屍局長・マーカスから、1本の電話で呼び出された。
死因不明の少女の遺体を調べるためだったが、かつての検屍局は取り壊されようとしており、スカーペッタは衝撃を受ける。
 そして、一見関係のない事件だったトラックに轢かれて死んだ男性から取った微物が、その少女にもついていたことがわかる。

 これまでで一番薄い。印象も、内容も。
誰にも焦点を当てさせないような書き方は新シリーズになってからだが、そのせいかどこにも着目させず、誰もが無駄に長引かせようとしているよう。
やっと微物に気を向かせることができて、事件が進み始める。

三年長屋


 下谷、山伏町にある裏店、通称『三年長屋』。そこは河童を祀っており、3年ほどで望みが叶うという噂があった。
元武士だった佐平治は、大家のお梅と出会ったことで、その長屋の差配としてそこに住むことになった。
錺職人や辻占、下駄屋や古手屋などを商う店子たちと、にぎやかな暮らしを送っていた。

 元武士で、上役の不正を質そうとして疎まれたために藩を出てきた佐平治が、店子の悩みや厄介ごとを聞きながら、それぞれの旅立ちを見送る。
お梅が佐平治を差配にした理由は何だろうと考えながら読んでいたが、前半は特に理由も思いつかないほど平凡。
退屈になってきた頃、やっと店子たちの個性も出てきた。
それぞれがきちんと生きていこうとする様子がしっかり描かれているが、長屋が舞台の似たような話は多くあって、その中では特に特徴がなく、印象に残りにくい感じ。

黒蠅 (下)


 「狼男」からの手紙に誘われ、死刑囚監房を訪れるケイ。
マリーノやルーシーもそれぞれ目的を果たそうと準備を進めていた。

 官房では、これまでのケイでは考えられないような愚かなことを言い、挙句に逃走されてしまう。
代わって鋭い勘で危機を回避し、頼もしくなってくるのはニックとなった。
ころころと短い場面の描写が移り変わるので気がそがれてしまう。
そしてずっと疑問に思っていたのは、被害者に関してはきちんと本人確認をするのに、死んでいった犯人に関しては死体の確認さえしていないこと。
ゴールトやロッコは間違えようがないだろうが、爆発させたり沼に落ちたままのキャリーやべヴは本当に死んだのか。
ベントンがあっさり蘇ったせいで信用できなくなってきた。

黒蠅 (上)


 バージニアの検屍局長を辞め、フロリダに移り住んだケイの元へ、死刑囚となった「狼男」から手紙が届く。
悪夢はまだ終わっていなかったことにおびえるケイ。
その頃、女性ばかり何人もが行方不明となっている事件も発生していて、「狼男」の一族との関連に感づいている人物がいた。

 検死局長を辞めたケイは、主人公から脇役へと移っていったかのよう。
さらに、いろんな人物からの視点にころころと移り変わるため目まぐるしい。
「私」という言葉でケイが語ることはなく、「スカーペッタは」と他人のような視点で描かれていて、言動もかつての勇ましさはない。
モリアーティと共に谷に落ちたホームズをよみがえらせたのと同じような手でベントンを出してくるのも不自然。

審問(下)


 ケイの審問の日が近づいてくる。
これまでの事件を洗い直していくうちジェイの身元が怪しくなってきた。
自殺した少年のことが気になるケイは、近くのモーテルで殺された人物がカギを握るのではないかと気づく。
そしてケイの判決は。

 「警告」から続くこの事件がやっと解決する。
ケイが感じたジェイへの違和感が意味を持ってくるまでは、ジェイの正体不明感が仕事柄のせいなのか区別がつかなかった。
検死局長を辞めると決めたケイだが、仕事を辞めて「検視官」としてのストーリーはどうなるのか。

審問(上)


 「狼男」に襲われ、危ういところで助け出されたケイは、精神科医である友人のアナのところへ身を寄せる。
しかし、いけ好かないと思っていたブレイ副所長が殺され、その容疑はケイにかけられた。

 ますます追いつめられるケイ。
不気味なだけでなく、あざとい手で回りを煙に巻く知能をもった「狼男」によって、ケイは一つの決断を下すことになる。
政治的な取引がメインのこの巻では、特にケイもルーシーも役に立たない。
アナの存在感が一番大きかったが、それはアナの家の中だけのこと。
物語が進んでいる雰囲気がない。