2013年01月14日 読了
第2回アガサ・クリスティー賞受賞作。
裕福な貴族の身代わりとして大学に通うエリオット。
ある日美しい若者シグモンド・ヴェルティゴが現れ、そこからエリオットは、貴族の血に潜む神の呪いを追いかけることとなる。
いくつかの代をまたぎ、血の濃さと時間に繋がれたシグモンドと、もう一人の人智を超えた存在のベネティクト。
哲学と言葉遊びとを使って、まるで数世紀前の英国の小説のようで没頭できた。
冒険小説のような余韻も残って、いろんな要素が味わえる。
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読書と編み物の記録
2013年01月14日 読了
第2回アガサ・クリスティー賞受賞作。
裕福な貴族の身代わりとして大学に通うエリオット。
ある日美しい若者シグモンド・ヴェルティゴが現れ、そこからエリオットは、貴族の血に潜む神の呪いを追いかけることとなる。
いくつかの代をまたぎ、血の濃さと時間に繋がれたシグモンドと、もう一人の人智を超えた存在のベネティクト。
哲学と言葉遊びとを使って、まるで数世紀前の英国の小説のようで没頭できた。
冒険小説のような余韻も残って、いろんな要素が味わえる。
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2013年01月12日 読了
東京都江東区豊洲にある豊洲署の生活安全課の刑事・岩倉梓のところにやってくる仕事は様々。
ネグレクトや詐欺、孤独死などの、一つ一つは事件になるかならないかといったことばかり。自分に自信がなく、気落ちしがちな梓は、事件性がなくて早く切り上げるべきそれぞれの問題を、追及してしまう。
同僚は大きな事件の担当をしているのに、梓がいま携わっている問題は小さなことだと焦ったりしながらも、気になることを放ってはおけない。
それが功を成す彼女をしっかりと見つめる上司。
大げさな煽り文句があったけど、割と普通な刑事ものだった。
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2013年01月10日 読了
黒猫がフランスへ行ってから半年、付き人は研究を続けていた。
次のテーマにポォの「アッシャー家の崩壊」と似た、綿谷埜枝の小説を選んだ付き人は、唐草教授と共にその作家の元を訪ねる。
同じころ、黒猫もフランスで「アッシャー家の崩壊」に出会っていた。
黒猫と付き人のシリーズ3作目。
相変わらず黒猫の美学講義は難しいけど、二人の思いは同期している。
文学を研究している人はこんな風に読み解いていくのかと思うと興味深い。
黒猫の意地悪な言葉と裏腹な行動は、とても切なくてロマンチックだった。
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2013年01月08日 読了
日本ミステリー文学大賞新人賞。
主人公の勉は、一回り近くも年の離れた菜津と暮らしていたが、彼女は半年前に交通事故で死んでしまった。
ひとり静かな暮らしを始めた勉。ある日仕事から帰ってくると、家の中には昔の仲間が集まっていた。
単調でくどい文章で書かれた、女や犬はただの道具としか思っていないような、感情の薄い、何事にも執着しない主人公の勉。
とても嫌な人物に思えるのに、なぜか嫌悪感がない。
おもしろい人物だと思いながら読み進むと、この文章独特の面白みが分かってきて止まらなくなった。
本当はちゃんと感情もあり、他人や動物も慈しむことができ、それらの気持ちもよく理解できている勉の、生き様。
選考委員以外の読者には、なぜか酷評されている。
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2013年01月05日 読了
有機化合物の合成ルートが、その構造式をみたとたんに最適な状態で頭に浮かぶという特殊な能力を持った大学院生の藤村。
ところがその能力が、恋に落ちた瞬間に失われてしまう。
それを取り戻したいという依頼者の願いをかなえるために、死神みたいな美少女が現れ。。。
もうこれ以上ないほどのラノベ・ラブコメ。
本人たちが幸せになれば残されたほうはもうどうなってもいいよという勝手すぎる結末はお伽話の王道で。童話。
第9回『このミステリーがすごい! 』大賞優秀賞作。
本当に受賞作品?子供用絵本のよう。
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2013年01月05日 読了
祖母の死によってひとりぼっちになった智子は、家と遺品の整理を始める。
智子の両親は、智子が幼いころ自動車事故で亡くなっており、智子もその際に事故以前の記憶をなくしていた。
そして両親が残したビデオテープを見つけ、それを見返すうちに、自分が昔持っていた力に気付く。
不思議な力を持つ主人公3人の話。
超能力を持つことは、幸か不幸か。
ありえないことだけに、いくらでも膨らむ想像が楽しかった。
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2013年01月04日 読了
あるバレエ団の事務所に男が侵入し、そこで殺された。
犯人はバレリーナで、正当防衛の可能性が高い。
ところが、そこから先が一向に進まず、次々に事件が重なる。
加賀は捜査をしながら、ある愛らしいバレリーナに目と心を奪われる。
加賀の事件。加賀が恋をする。
いろんなところに伏線が潜み、後で何度も見返すことになるので、充実していた。
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2013年01月02日 読了
ある保険金殺人につながる関係者を、それぞれの財布が語り部となり、見たことや聞いたことを語る。
刑事、被疑者、探偵、証言者、いろんな財布たちがそれぞれの持ち主について話しているので、面白い。
しかし、結末はどこかで聞いたことがあるような展開で、ありふれていた。
この手の話は必ず誰かの他の話に似ている。
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2013年01月01日 読了
同じ中学を受験させる4組の親子が、勉強合宿をしていた。
仕事のため遅れてやってきた俊介。
そこで、覗きにやってきた俊介の愛人が殺されてしまう。
子供たちの将来と、自分たちの立場を守るため、4組の家族は全員で隠蔽工作をする。
ただの仲良しとはいいがたい様子の家族におかしな雰囲気を感じながらも、俊介は従ってゆく。
子供の発想と親の知恵で隠された殺人は、最後にはっとさせる結末を持つ。
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2012年12月31日 読了
刑事の加賀が、わずかな不自然や違和感から事件を解き明かす。
読み終わって気づいたが、「新参者」の加賀だった。
短編集なのでちょっと簡単すぎる気がしたけど、疑わしい人物の言動を一つ一つ突いてくるので納得ができる。
最後の「友の助言」が切ない。
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