戦うハニー


2016年06月17日 読了
 大手保険会社を辞め、夢だった保育士として私立保育園「みつばち園」で働き始めた主人公の星野。
そこは、問題のある親や子供自身を受け入れている、「問題の多い保育園」だった。

 パチンコで稼ぐ母親、ネグレクト、親同士の不倫など、受け入れている子供の家族の問題も多いが、市役所との問題もあり、また保育士個人の問題もある。
園に嫌がらせをしてくるご近所さんの問題から、園の閉鎖に追い込まれそうになったりと最後まで厄介ばかりだが、最後はなんだかあっけなく、これまでの出来事に比べれば苦もなく解決。
山場というには寂しすぎた。

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睦月童


2016年06月10日 読了
 祖母の故郷から、日本橋の酒問屋に連れてこられた一人の子供。
その子は、人の罪を映す「鏡」という力を持っていた。
 跡取り息子のあまりの放蕩に業を煮やした当主が連れてきたその子・イオによって、良心の呵責に耐え切れず罪を告白する放蕩息子の央介。

 そんな子供と過ごすことになった央介は、江戸で起こる様々な罪人と関わることになるが、やがてイオの力のわけを知ることになり。。

 女だけが持ち、その命は子へ受け継がれるために増えも減りもしない不思議な力を持つ女たち。
人が支配しているようなこの地において、その真理は裏返っていくかもしれないという奇妙な恐怖。
どんなに根絶やしにしようとしてもどこかで生きている生命の強さを感じて空恐ろしくなる。

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キッズタクシー


2016年05月28日 読了
 シングルマザーでタクシー運転手の千春。
ある日予約していた小学生の男の子がいなくなる。事故か、それとも誘拐か。
捜査が進むうち、千春の15年前の事件を暴く噂が流れ始め。

 千春のほかに、視点を変えて数人の目線から語られているが、それがあまり生きてない。かえって混乱してしまった。
短編が多い作者だからそのあたりの癖かもしれない。
 自分の子供を含め、仕事上で出会う子供たちを理解しようとする千春が懸命すぎて、心が痛む。

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アンと青春


2016年05月19日 読了
 デパートの和菓子屋『みつ屋』でバイトをしている主人公の梅本杏子。
シリーズ2作目。仕事にも慣れてきた頃、デパートにやってくる様々なお客様を見る目も変わってくる。
不思議な言い回しをする人に、業界の専用言葉がわからず悩むアン。
周りの空気が一瞬固まるほど子供を叱る親など。
 しかし、そこだけ見れば嫌な客でも、事情を推理していくと見えてくる本質があり、アンは手を貸そうとしてしまう。

 お人好しで、お菓子と関わる謎をひたすら解き明かそうとするアンの姿は一途なようだけど、どこか白けた雰囲気が漂う部分もあり、応援や共感をしにくい。
 所々はおもしろいけど、全体の読後感としては流れに乗り損ねたような気分。

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私のサイクロプス


2016年05月09日 読了
 迷い癖のある旅本作家・和泉蝋庵と、お供の輪と耳彦。
目的のところにたどり着くまでの迷い道で、ひたすらおかしな町に出くわし、恐ろしいものを見、死にそうな目に合う。

 前作の『エムブリヲ奇譚』の不気味な後味が妙に残っていたので興味がわいた。
ホラーで所々スプラッタだから、読んでいると恐怖で震えるが、なぜか読後感は悪くない。
日本中の奇妙な話を集め、どこかで聞いた頃がある伝承が混ざっているからか。

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骨董通り0番地


2016年05月03日 読了
 骨董通りの一角、あまり人に見つかってほしくないと言わんばかりの佇まいをしたバーがある。そこの常連である老紳士の内山に、ある女性と仕事を含めた付き合いをしてほしいと頼まれる主人公の高柳。

 時が止まったかのような雰囲気のバーと、よく似た気配の老人。
内山に懸想する若い女性に惹かれていく高柳が、自分の嫉妬心に気付いた時、内山を巡る女二人の戦いに巻き込まれていることを知る。
 しかしその戦いすら、内山の練ったゲームの中のひとつにすぎないと気づきながらも抜けられない高柳が、静かに怒りを感じるのが最後の最後までない。
いい年をした男が上手く操られた感があるにもかかわらず。

 人に、「きっとこの作者の本は気にいると思う」と紹介された作家。
煙に巻かれたような読後感だが、不快感はない。

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教場


2016年04月20日 読了
 警察学校初任科の第九十八期短期過程の生徒には、厳しい規律と訓練で心を壊す者が出てきていた。
 厳しいだけでいじめとしか受け取れない教官、同期を執拗に追い詰める者など。
そんな中、白髪まじりのある教官は、一人冷静に生徒たちを見つめていた。

 柳広司のスパイシリーズのようなイメージで読み始めた。
途中とても不快な気持ちになるところもあり、そこが全く違うところだが、人の暗い内面を誇張しているという点では効果のある理不尽さだった。

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教場 (小学館文庫) [ 長岡 弘樹 ]
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ポンコツ探偵の名推理


2016年04月08日 読了
 大物政治家の脱税疑惑を追ったせいでクビになった刑事の八房文次郎。
家も妻もなくし、金も仕事もなくなり、途方に暮れる八房は、後輩の紹介で探偵組織の一員となる。
 うっかり借金を作ってしまったために探偵の助手になった八房が、すっとんきょうで最低ランクの探偵・弾正勘八と組み、依頼をこなしていくが。

 警察としての能力はあるのにどうも運が悪い八房は、『田舎の刑事』シリーズの主人公と通じるところがある。
そのためどこか滑稽で、深刻な事件なのに笑いがにじむ。
楽しめた。

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インフェルノ(下)


2016年03月27日 読了
 増えすぎる人類の未来を憂慮し、対策を講じようとしたゾブリストの野望が明らかになった。シンスキーと合流したラングドンは、暗号を解きその陰謀を阻止しようと駆け回る。

 上巻ではそれぞれの立場と思惑がまだ明かされず、誰が信用できるのかがわからないまま誰からも逃げていたラングドンだが、ようやく目的がはっきりしてくる。
極端な思想は危険であるが画期的な解決策でもあり、ゾブリストがただの悪人ではないとわかるが、天才ゆえの飛び越えた発送は支持されない。
解き放たれたウィルスの効果がどうなっていくのか楽しみである。

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インフェルノ 下 [ ダン・ブラウン ]
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千年鈴虫


2016年03月15日 読了
 母と共に『源氏物語』のカルチャースクールに通うことにした主人公の千佳。
講師である初老の大橋から発せられる艶のある声に耳を傾けるうち、大橋の愛人となる。

 現代の源氏さながら、あちこちの女に求められるがまま答える大橋に、いつの間にか魅せられ、一緒に住むようになるが。
源氏の最愛の人でありながら正妻にはなれず、人生の最後に裏切られて静かに狂う紫の上をなぞるように生きる千佳の様子が淡々と語られる。

 源氏物語は途中で飽きてちゃんと読んでいないけど、あの長い物語を現代に再現したかのよう。

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千年鈴虫 (祥伝社文庫) [ 谷村志穂 ]
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