東京ピーターパン


2012年02月28日 読了
 すれ違う数人の男たちが、やがて集うとこになり、一つだけ歌を生む。
 とても小路幸也らしい物語。

 淡々とした独り言からだんだんと声が重なっていく、ラヴェルの「ボレロ」のよう。
 穏やかで暖かくて、ハッピーエンドがうれしい。

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スノウ・グッピー


2012年02月27日 読了
 グッピーが水槽から逃げ出した。
研究中の”電子機器”を積んだ自衛隊の訓練飛行機が、墜落した。
あれは重要機密のはずで、新聞発表もされていない。なのにアメリカは当然、ロシアや中国までが墜落地点へサメのように集まってくる。そして開発に携わっていた山田が消えた。

 グッピーという名の電子機器を追う者は一体どれくらいいるのかと混乱させる。
でも広げた割にはなんだか拍子抜けした結末だった。

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眠れない夜のための短編集


2012年02月22日 読了
 妖しくて、近寄ってはいけないようなホラー作品。
短編集なので展開が早く、思いもよらない方向へどんどん進む。
だけどどれも救いがないままで、「世にも奇妙な物語」のよう。
映像がない分ホラー要素は低いけど、眠れない夜に読んだらきっともう眠ろうとは思えない。

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J


2012年02月10日 読了
 日々だらだらと過ごしていた秋生の前に、ジェイという女が現れる。そこから彼の運命は変わった。
 毎日のように起こるテロと共に現れる彼女を、訝りながらも気になってしょうがない秋生は、少しづつその波に呑まれる。

 何もかも捨てて逃げ出したいと思う者と、そこでしか生きられないと思う者。
どちらも時には思うことであるけど、より強い思いはどんな力を生むのか。
 境遇による信条の違いがぶつかる時、壊れた物は大きかった。

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夕映えの人


2012年02月08日 読了
 主人公の小谷四太郎は、勤務の途中で父の死を知らされた。
男ばかり、4兄弟の長子に生まれた四太郎の、人生の物語。

 父の死から始まる、絶え間のない問題と事件と騒動。
面倒なことが次々と起こるので読んでいて苦しくなる。
思うようにいかない人生が詰め込まれていた。
昔から好きな作家でよく読んでいたけど、この人はこんな作風だったかなぁ。。

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KUNIMORI


2012年02月02日 読了
 亡くなった叔母の遺産を受け継ぎ、いつくかの物件と貸スタジオを経営し始めた武原耕太。
 ビル内の会社が夜逃げしたという話と共に、その会社の人から助けを求められる。
 知らなかった叔母の姿をいくつも見つけ、様々な人と出会ううち、耕太はその人たちの仕事を知る。。。

 国に縛られ、国を背負う人たち。その国はとても重いが、決して捨てることはできない。
 使命は大きくて苦しいけど、それが生きるためのより所となっている人達の生き様は、揺るがないんだろうけどなんだか痛々しい。

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三人小町の恋―偽(いかさま)陰陽師 拝み屋雨堂


2012年01月31日 読了
 「大陰陽師・安倍清明の傍流の末裔」と言いはり、イカサマの祓い屋を営む吉次と、もらわれっ子のおこと。
 二人のところはそこそこ繁盛していた。

 そこへやってきた三人の娘さん。
仲たがいをした風なそぶりはしているが、どうやらそれは芝居のよう。
そして、「丑の刻参り」で呪われているのは誰か当ててほしい、という。

 登場人物も話も面白いけど、なんだか流れが悪い。
だけど、表紙絵の人の絵でアニメにしたらおもしろそう。
続編が出るといいな。

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黒を纏う紫


2012年01月29日 読了
 巨大都市が消費する膨大なエネルギーを賄う「特殊物質」。
それを扱う者達の間では、不気味な噂が囁かれていた。
その「特殊物質」は、危険ではあるが金になる。
 それを狙う者達も様々だった。

  近未来の東京を舞台にしたサスペンス。
賛否分かれるような感じ。
迫力もあるし勢力図も面白いけど、少し物足りない。
五条作品は長編のほうが力がある。

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魔女は甦る


2012年01月21日 読了
 一目の少ない地方の田園地帯で、細切れになった人間の肉片や骨が発見される。
製薬会社の研究員だったその死体の捜査をするうち、近頃都会で問題になっている「ヒート」と呼ばれる麻薬との関係が浮き上がってきた。

 前半とクライマックスでは、違った物語かと思うほどスピード感が違う。事件を追う埼玉県警の槇畑刑事の性格までも変わってしまったかのようで、ゾクッとするほど怖い。
 そのせいか、読後感はなんだか痛みが大きい。

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営業零課接待班


2012年01月09日 読了
 退職勧告書を渡された真島は、迷った挙句に退職届を提出すると、営業本部長に呼ばれた。
 そこから、聞いたこともない部署に勧誘されてしまう。

 「被取締役新入社員」を読んで以来、次はどんなものが出てくるのかとずっと楽しみにしていた。
 今度もかなり突拍子もない発想かと期待したが、前半は少々薄口。
しかし最後はいい方向へ導いてほっこりと終わる。

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