密室の鎮魂歌


2009年10月12日 読了
 第14回鮎川哲也賞受賞

 社会的地位のある男の失踪、いくつもの密室殺人、そしてある画家の真実を含む絵。

 ミステリとして充分なアイテムが的確に配置されていておもしろい。狂気を孕んだ女の不気味さや、達観した男の眼差しが目に浮かぶ。

 でも、最後の謎解きの場面で起こる乱闘はなにやら違和感。
まるで、ミステリの最後には必ず必要であると思い込んで無理やり入れたよう。むしろ真之介が最後に出てこなかったことのほうがおかしい気がする。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

密室の鎮魂歌(レクイエム) [ 岸田るり子 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

ホテルジューシー


2009年10月08日 読了
 しっかり者の浩美がひと夏のアルバイトを沖縄に決めた!

 沖縄のホテルでやっと慣れてきた頃、突然転勤させられる。バイトで転勤って。。。

 リゾートのホテルにやってくるお客さんと、昼行燈のオーナー代理、気のいい双子のおばーちゃんやほがらかな調理のおばさん。

 似たような話はたくさんあるし、取り立てて突飛なこともない。でも安心して読める。
 時々登場する友達のサキとのメール。どうやら彼女版といえる姉妹本があるらしい。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ホテルジューシー [ 坂木司 ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

群青


2009年10月06日 読了
 沖縄の離島を舞台にした親子2代にわたる命をかけた愛。

 映画の原作だということは読み終わって知った。
南国で、海に命を取られる人がいて、愛する人のために潜り、心を病み、やがて救われる。
 よくある話だけれど、それでも充分に引き込まれた。
 
 心の病は薬で治せる。と私も言われた。でも全く疑問も実感もなく飲んで、それで本当に治るのか。などと考えること自体やめたほうがいいと言われたが。。。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

群青 (Shogakukan paperbacks) [ 宮木あや子 ]
価格:1430円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

こいしり


2009年09月26日 読了
 『まんまこと』の続編。
相変わらず素っ頓狂な町名主の息子・麻之助。
前作の流れの後、お寿ずを嫁にもらってからのお話。

 町名主の仕事柄、剣呑なことも持ち込まれるが、それを今回も見事にこなす。
 相変わらずさくさくと読み進められる。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

こいしり [ 畠中 恵 ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

マグマ


2009年09月13日 読了
 外資系ファンドに勤める妙子は、地熱発電を研究運営する日本地熱開発の再建を任される。

 日本のエネルギー問題として、地熱発電に目を向けた。外国からの圧力、政治的な思惑、現場の仕事。
 「国際エネルギー戦争」というサブタイトルの通りである。

 スケールの大きいテーマのわりに、あやふやだったり違和感だったりするものがなかったので、すっきりと読み終わることができた。でもボリュームのわりに充実感がない。

 節電もエコも、地球のためというよりは、まず自分の節約のためと思っているからか。小さいのは私のほう。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

マグマ 小説国際エネルギ-戦争 [ 真山仁 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

カタコンベ


2009年09月10日 読了
 第50回江戸川乱歩賞受賞作。
選評では、「あらゆる点においてあまりにも不注意」だとか「文章に難が多い」だとか、かなりひどい言われようである。

 でも「B級ハリウッド映画のような」感覚で力強く読めたし、情景を思い浮かべやすいといった点では充分おもしろかった。

 ほとんどが洞窟内の出来事ということで、ちょっとした閉塞感に襲われ息がつまりそうだったけれど。。。

 確かに映画をそのまま小説にしたような作品で、疑問が残ったりわかりにくいところもあったけど、それほどひどい評価をされるものだったとは。私はまだ読解力が足りないということなのか。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

カタコンベ [ 神山裕右 ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

時計を忘れて森へいこう


2009年09月09日 読了
 「ミステリー」と作者は語っている。
落とした時計を探しに迷い込んだ森で出会った自然解説指導者。

 秋の早朝の空気のような、キンと音のするくらい静かな物語。

 探偵モノなんだろうけど、加害者がいるわけじゃなく、本当に時計を気にしないでいられる物語だった。

 「銀の犬」ほどの余韻はないけれど、幸せな未来を確信できると思わせてくれる。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

時計を忘れて森へいこう (クイ-ンの13) [ 光原百合 ]
価格:2090円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

まほろ駅前多田便利軒


2009年09月06日 読了
 東京の片隅にある便利屋。そこの主である多田のところに迷い込んだ高校の頃の同級生・行天。
 一生懸命今を幸せだと思いこませようとしているような主人公と、本当に迷い猫のような行天の生活。

 カーテンごしに家族と話をしているような感覚で、どこか現実でないような雰囲気をもったお話。

 楽に読める。思いのほか爽やかな読後感が残り、疲れたなぁと思った夜に手にとったらよく眠れそうだと思った。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

まほろ駅前多田便利軒 [ 三浦 しをん ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

殺人の四重奏


2009年09月01日 読了
 革命期フランス、作者のもっとも得意とする分野。

 宮廷内、微笑みと耳触りの良い会話に隠された思惑を読み取れない者は利用されていく。

 市井であってもそれは同じ。薪をふんだんに使える生活がしたい、ドレスをまとい、柔らかなベットで眠る生活を。。。
 
 そして今に生まれついた運命を変えたいと望む。

 短編であるため、各物語はあっというまにすぎてゆく。でも毎日はたぶんそんなもので。それでもフランス王妃マリー・アントワネットが脇役で登場する物語は、印象深い。

 信念を見つけ出すために費やすエネルギーは、静かに疼く種火のようなものかもしれない。潜む力が香り立つような目をした男の魅力が描かれていて素敵だった。

 でもやっぱり長編が読みたい。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

殺人の四重奏 クラシックミステリー [ 藤本ひとみ ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)

夜騎士物語―Night Knight Story


2009年08月28日 読了
 ホストだった父親のようにはなりたくないと思ってホストになった男に、ホストに心を壊された母をもつ男がホストになって戦いを挑む。

 私が女だからか、なんだか違和感と嫌悪感のまざった内容だったけれど、途中で投げ出すほどではなかった。結末はそれとなく窺えたし、流れも予想の範囲を超えなかったけれど、文章は読みやすかったし、集中して読めた。
 

 ただ、「この人はこんなもんではない」という意見が多かったので、ほかの作品も読んでみたいと思う。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

夜騎士物語 [ 新堂冬樹 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2019/11/6時点)