精姫様一条 お狂言師歌吉うきよ暦


2016年09月07日 読了
 お狂言師とは、大名家の奥向きに参上する女ばかりの一座。
水木歌仙一座の歌吉は、ある事件をきっかけに公儀の隠密の手下である「手駒」となった。
 ある時、将軍家の姫の嫁ぎ先を巡り、二つのお家が金のかかる「厄介嫁」となる姫を押し付け合い始める。
そのさなか、密談をしていたと思われる二人が心中に見せかけて殺される。

 シリーズものなのに途中から読んだおかげで、所々出てくる昔話がよけいに気になってしまう。
でも長々揉めた割にあっさりと幕が下り、拍子抜けする結末となった。
さかのぼって読もうとは思わない程度。

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小説家の姉と


2016年09月05日 読了
 5歳年上の姉が突然小説家デビューした。
一人暮らしを始めて3年、弟の僕に「一緒に住んでほしい」という。
 姉の小説家としての顔を見ることになり、僕は姉が持っている秘密に気づき始める。

 「姉」が描く小説はきっとこんな感じなんだろう。
と思うくらい、普通の、いつもの生活を描いた、何気ない毎日。

 大きな衝撃もなく淡々と進み、驚く出来事もなく、普通に終わる。
きっとすぐ忘れる。

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砲艦銀鼠号


2016年08月02日 読了
 大戦争であらゆるものが壊れた世界。
元戦闘員の三人が偶然手に入れたオンボロ戦艦「銀鼠号」で海賊稼業を始めた。

 はったりの砲台がついた船を動かし、あちこちの海で呑気に漁船や民間の輸送船を襲いながら漂う3人。
個性的なキャラクターが、奇妙な生き物と出会ったり裏切られたりする。
所々興味をそそる出来事が起こるが、「武装島田倉庫」や「水域」に比べるとインパクトが弱い。

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ノッキンオン・ロックドドア


2016年07月31日 読了
 「不可能」を解く御殿場倒理と、「不可解」を解く片無氷雨。
それ以外の謎はそろってダメな二人が組み、探偵事務所を構えている。
そこに持ち込まれる謎をめぐる、短編小説。

 ただ、きっちり最後まで見届けるということはなく、たいていその場にいる警察官の女刑事の穿地に後始末は任せ、謎を解くだけの二人。
さも周知の事実といった風に出てくる昔話に戸惑うが、二人と穿地、さらに犯罪の知恵を売る美影の4人には、まだ解き明かされていない「密室」があるらしいので、今後に期待。
二人の探偵がいまいち区別しにくいのも難。

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土曜はカフェ・チボリで


2016年06月24日 読了
 オーナーが高校生だから、土曜日しか開いていない。
そんな変わったデンマーク料理を出すカフェ・チボリの常連となった客たち。
そこでは、それぞれが体験した不思議な出来事を話し合い、想像し、推理していく。

 アンデルセンの童話になぞらえ、様々な推理が飛び交うが、いくつかの仮説が出て満足するだけの想像で終わる。
あえて真実は明かさずにいるはずが、客たちが危ない目に合ってしまうとそうもいかず。。。
 子供らしい正義感で憤るオーナーに引きずられそうになるが、最後は大人の采配で終わらせる。でも、主人公の意見は寛容や慈悲というよりただの臆病で、それがスッキリしない終わり方となり後味の悪さとなる。

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怪物率


2016年06月15日 読了
 資産家の娘だったはずが、父が死んだために使用人に家から追い出された主人公のウサギ。
野良となったウサギがやっと見つけた住み込みの仕事は、おかしな噂のあるお屋敷だった。
そしてそこで仕えることになったのは、怪物に会うことが最大の目的だという息子のナイトさまで、彼と共に怪物の噂のあるところへと足を運ぶが。

 ホラーのようでコメディな、どこまで受け取っていいのか迷う一冊。
黒猫シリーズを描いている人とはまるで別人のよう。

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ピース


2016年05月30日 読了
 バラバラ殺人事件が起こる。
元警察官と物静かな青年がやっているスナック「ラザロ」でピアノを弾いていた女も殺され、それは連続殺人事件となった。
しかし捜査は難航し、一向に解決への道が見えてこない。
そのうち3件目の死体が見つかり。。。

 表紙とタイトルの意味がわかる頃、すべてが解決する。
しかし、刑事の坂森が最後に披露する推理は、謎が解けるようでどこか曖昧。
意味深な青年を描いたのは目くらましであっても、スナック「ラザロ」のマスターである八田が怪しいとすぐにわかる。
しかしそれも、八田の巧みな誘導と優れた知恵があればできたはずというだけの説明。
鋭い追及で解き明かしているようで何もしない坂森は、被害者の共通点や八田の仕掛けに気付いた人物と同じとは思えない。ベテラン刑事の割に日和見な最後ががっかりさせる。

 犯行の動機となったピースには説得力があり、印象にも残るが、それ以外はいまいち。

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札幌アンダーソング ラスト・ソング


2016年05月23日 読了
 キュウのドッペルゲンガーが現れた。しかも殺人容疑がかかっている。
窮地に立たされた警察官のキュウ。
調べていくうちに、どうやら山森が仕組んだらしいとわかり、キュウは先輩の根来たちと共に春のところに避難と援助を求めにやってきた。

 どうやら最後の事件。
山森とどんな対決があるのかと期待したが、そこはなんだか児童書の流れ。
殺人という言葉がたくさん出てきて物騒な割にあっけなく幕が下りる。
春や山森という天才を出したなら、もっと頭脳戦を期待してしまう。

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札幌アンダーソング ラスト・ソング (角川文庫) [ 小路 幸也 ]
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ひとつ目女


2016年05月11日 読了
 失業中のおれ。仕事を探して知人に頼みまくり、やっと手に入れた仕事は「逃げ出したラクダを探してきてほしい」。
ちょっと怖い思いもしながらも割と近くで見つけたラクダ。
それを連れてさっさと帰れればよかったのだが。

 ラクダと共にみつけたひとつ目の女と逃げることになったおれが、えらく遠回りして帰り着く話。

 ラクダはすっかりわきに追いやられ、メインはラクダと一緒にみつけたひとつ目女を連れて逃げる男二人。
ひとつ目女はタイトルになってはいるけどこれも脇のアイテムの一つで。
どうもちぐはぐな印象を受ける。

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ピロウボーイとうずくまる女のいる風景


2016年04月19日 読了
 どうしようもない母親から逃げて貧困のさなかにいた絢野クチルは、顔に傷があるキムラに拾われてピロウボーイとなった。いわゆる枕少年。
さらにクチルには、いきなり押しかけてきて住み着いた同級生の知紅がいた。

 キムラからの仕事で出会う女たちを癒す日々。
そして知紅とは体の関係のないままなんとなくくっついて寝ていた。

 石田衣良の『娼年』『逝年』にも似た雰囲気だが、政治の哲学的な思想が混じり、拳銃の非日常も含まれる、ごった煮的なものになった。
知紅との関係には一段落したので、結末としては日常に戻れるいい結果となった。

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ピロウボーイとうずくまる女のいる風景 [ 森 晶麿 ]
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