2016年04月20日 読了
警察学校初任科の第九十八期短期過程の生徒には、厳しい規律と訓練で心を壊す者が出てきていた。
厳しいだけでいじめとしか受け取れない教官、同期を執拗に追い詰める者など。
そんな中、白髪まじりのある教官は、一人冷静に生徒たちを見つめていた。
柳広司のスパイシリーズのようなイメージで読み始めた。
途中とても不快な気持ちになるところもあり、そこが全く違うところだが、人の暗い内面を誇張しているという点では効果のある理不尽さだった。
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読書と手芸の記録
2016年04月20日 読了
警察学校初任科の第九十八期短期過程の生徒には、厳しい規律と訓練で心を壊す者が出てきていた。
厳しいだけでいじめとしか受け取れない教官、同期を執拗に追い詰める者など。
そんな中、白髪まじりのある教官は、一人冷静に生徒たちを見つめていた。
柳広司のスパイシリーズのようなイメージで読み始めた。
途中とても不快な気持ちになるところもあり、そこが全く違うところだが、人の暗い内面を誇張しているという点では効果のある理不尽さだった。
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2016年04月08日 読了
大物政治家の脱税疑惑を追ったせいでクビになった刑事の八房文次郎。
家も妻もなくし、金も仕事もなくなり、途方に暮れる八房は、後輩の紹介で探偵組織の一員となる。
うっかり借金を作ってしまったために探偵の助手になった八房が、すっとんきょうで最低ランクの探偵・弾正勘八と組み、依頼をこなしていくが。
警察としての能力はあるのにどうも運が悪い八房は、『田舎の刑事』シリーズの主人公と通じるところがある。
そのためどこか滑稽で、深刻な事件なのに笑いがにじむ。
楽しめた。
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2016年03月27日 読了
増えすぎる人類の未来を憂慮し、対策を講じようとしたゾブリストの野望が明らかになった。シンスキーと合流したラングドンは、暗号を解きその陰謀を阻止しようと駆け回る。
上巻ではそれぞれの立場と思惑がまだ明かされず、誰が信用できるのかがわからないまま誰からも逃げていたラングドンだが、ようやく目的がはっきりしてくる。
極端な思想は危険であるが画期的な解決策でもあり、ゾブリストがただの悪人ではないとわかるが、天才ゆえの飛び越えた発送は支持されない。
解き放たれたウィルスの効果がどうなっていくのか楽しみである。
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2016年03月15日 読了
母と共に『源氏物語』のカルチャースクールに通うことにした主人公の千佳。
講師である初老の大橋から発せられる艶のある声に耳を傾けるうち、大橋の愛人となる。
現代の源氏さながら、あちこちの女に求められるがまま答える大橋に、いつの間にか魅せられ、一緒に住むようになるが。
源氏の最愛の人でありながら正妻にはなれず、人生の最後に裏切られて静かに狂う紫の上をなぞるように生きる千佳の様子が淡々と語られる。
源氏物語は途中で飽きてちゃんと読んでいないけど、あの長い物語を現代に再現したかのよう。
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2016年02月19日 読了
長距離トラック運転手・健二は、ある日帰宅したら妻が家財と共に消えていた。
2歳半の娘を残して。。。
よくある、妻に逃げられた男が初めての家事育児に奮闘しながらもやがて子供と心を通わす話かと思っていた。しかし、ただ妻に逃げられただけじゃなさそうだと思いだしたら面白くなっていく。
関西弁で、くだらない言い合い(掛け合い)が言えるのは家族ならではだなぁと楽しめる。
時々ドキッとする言葉が出てくるし、暴走しそうな大人に対して子供がいいストッパーになっている。
でも最後はいろいろと回収しきれずに不完全燃焼な感じがもったいない。
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2016年02月15日 読了
善人長屋と呼ばれるある長屋では、一人を除いて誰もがみな裏の家業を持っていた。
そんな長屋が善人長屋と呼ばれる所以は、ただ一人裏がないまっすぐな善人の加助。しかしこの加助が持ってくる厄介事で長屋は毎日てんてこ舞い。
表紙がいきなり剣呑だが、これが長屋の一大事。差配の母娘が囚われた。
善人長屋はシリーズだったそうだが、これだけ読んでも楽しかった。
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2016年02月11日 読了
車椅子スナイパーの宮崎一晃。
難病ゆえ、いずれ四肢が動かなくなる運命だが、美しい介護師兼愛人の篤子に支えられ、数々の難しい依頼をこなしていく。
ススキノシリーズしか読んだことがなかったが、こちらも強烈なキャラクターばかりで楽しかった。短編なので読みやすく、篤子にすら正体を明かさないプロぶりが潔い。
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2016年02月04日 読了
魔法の才をもつカーランド人と、征服民アアランド人が暮らす北国カーランディア。
力が強いアアランド人は、職人気質のカーランド人を迫害し、幾度か虐殺が行われる。
とうとう怒りが抑えきれなくなった魔法使いが、平和の象徴であった鐘を壊した時、封じられてきた闇の歌い手と魔物を解き放ってしまう。
魔法使いシリーズではないけど、それぞれ自分の適性にあった魔法を使える人々。
人々の生き様がいろんな考えを持って押し寄せる。
事が収まり、収束に向かう部分がやたら長いのがしんどかった。
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2016年01月30日 読了
戦争の頃子供だった3人の少女たちの、老いて人生を振り返り、感謝し、涙する物語。
家族と共に満州へ渡った珠子と、そこで友達になった二人の戦争体験を、淡々とつづる。
どんなに悲惨な光景でも、余計な言葉で飾らずにただ事実として書かれているので、引きずられることもなく読み進められる。
そのためある意味退屈ではあるけど、一つの覚書として戦争を思い出している感じ。
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2016年01月16日 読了
ヤクザではないけど、暴力で生きている者たち。
そのなかで東京の裏社会に君臨する武蔵野連合の真嶋は、いつか東京を手に入れようとしていた。
クスリで狂わされる少女や殺しを追う刑事が、どこで真嶋と絡まってくるのかと思っていたけど、真嶋のストーリーにあまり重要なアイテムじゃなかった印象。
余り欲がなく、好きに生きた男が、最後で生きる目的を少し見つける。
夢中になって読むほどではない。
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