2015年08月20日 読了
中央はインフルエンザ騒動の反撃に、浪速を陥れようとしている。
その陰謀を察知した彦根新吾は、あらゆる対策を講じるため有精卵を大量に卸してくれるところを探していた。
医療の分野だけでなく、日本を治療しようとした彦根先生の大勝負。
バチスタシリーズでは伏線のような扱いの彦根の活躍が見れた。
そして知らずに若者たちの行く末までも決定させ、道化師で手品師のようなつかみどころのなさが楽しい。
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読書と手芸の記録
2015年08月20日 読了
中央はインフルエンザ騒動の反撃に、浪速を陥れようとしている。
その陰謀を察知した彦根新吾は、あらゆる対策を講じるため有精卵を大量に卸してくれるところを探していた。
医療の分野だけでなく、日本を治療しようとした彦根先生の大勝負。
バチスタシリーズでは伏線のような扱いの彦根の活躍が見れた。
そして知らずに若者たちの行く末までも決定させ、道化師で手品師のようなつかみどころのなさが楽しい。
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2015年08月08日 読了
たった一度、偶然見た雪の結晶に魅せられた下総古河藩の下士・小松尚七。
彼は様々な事象への探究心のせいで、「何故なに尚七」という二つ名がついていた。
そんな彼がある日、藩の跡継ぎである土井利位の御学問相手に抜擢される。
この時代、身分や建前がなにより大事だった頃に、外国の新しい考えに触れ、衝撃と共に改めて世の中を見渡す者たち。
解り易く、スピード感もあり、各々の持つ正義に従う生き方をさっぱりと描いていて読みやすい。
雪の描写もきれいで、土井の発行した『雪花図説』が是非見たい。
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2015年08月06日 読了
人死が出た家からでも、幽霊が出る物でも、いわゆる曰く品という物を買い取ってくれる小道具屋の皆塵堂。そこへ、給金はいらないから働かせてくれと言う若者が一人やってきた。
その若者・連助は、婿は早死にするという家に、生まれた時から婿入りが決まっているためか、ことさら幽霊や物の怪といったものを毛嫌いしていた。
また一時的に奉公人を迎え入れた皆塵堂。
代々の奉公人たちも加わって、賑やかな幽霊騒ぎが続く。余り出番のない者ですら個性的で、怖いようで微笑ましい、楽しげな幽霊退治。猫嫌いの太一郎がうらやましい。
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2015年08月03日 読了
仕事の失敗のせいで借金を追い、妻と子供に逃げられ、仕事もなくした松橋吾郎は、ホームレスを集めた低額宿泊所の施設長をしていた。
そこで出会った一人の若者の絵を見てから、吾郎はギャラリーを開くことを決意。
そこそこなんでもこなし、割と前向きだけど結構適当な主人公。
悪いこともするけどお人好しなところがうまく出ていて、吾郎への嫌悪感はどんどん消える。
ご近所トラブルや権力からの妨害などに悩みつつも、思い付きと行動力であちこち丸く収まっていく様子は見ていて楽しかった。元気が出る。
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2015年07月14日 読了
天才的な頭脳が悪魔の所業をなしとげる。その少年・ローレン・ディルーカは、13歳で独房に入れられていた。警察に協力し、本人の知らぬ間に自分に協力させながら、すべては計算されていく。
ローレンが平賀の友人になる前の話や、魔女と畏れられた人の手記に興味を持ち、作家希望の女性と共に『魔女のスープ』を再現させようとしたロベルトと平賀の話など、いくつかの短編集。
一つ一つ細かく検証していく平賀の科学的な説明が興味深い。
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2015年06月26日 読了
上王が統べる島国「八万遠」は、いくつかの州に分かれていた。
それぞれの州で小さな争いはあれど、おおむね平和な世が流れていた頃、一つの州で豪胆な長男が謀反を起こし、弟を切り殺し、父を幽閉した。
まるで平和に飽いたかのような所業から始まる、八万遠全土を巻き込む嵐。
州ごとの風土や信仰が解り易く区別されていて、知っている地名はあっても全く違う土地の事なのに馴染みやすい。
これで終わりというよりこれから物語が始まるかのような終わり方で、まだ序章ではないかと思えるほど。続きが気になる。
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2015年06月11日 読了
商人とすら顔をあわせずに売り買いをし、地図にも載ってない。
そんな村で生まれた「さざなみ」は、村の滅亡を悟った村人たちに救いの知恵を探してくるようにと村を出された。
旅に出たさざなみは町に出、父親の家族や許嫁、男勝りな王女と出会い、自分の生きる意味を知る。
隠れた村には秘密があるのだが、さざなみが主人公だと思っていた物語は途中で意味を変える。ほんの数行で。
淡々と語られるために特別な感情移入がなく、そのせいか遠い異国の昔話のようで不思議な魅力があった。
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2015年05月18日 読了
三味線の師匠をしているお久は、足を悪くするまで芝居小屋で女形をやっていた兄と二人で稽古屋をやっている。
そこへおさんどんのお光と猫の小太郎を加え、穏やかな日々を過ごしていた。
稽古のお客やお世話になった芝居の師匠らが、お久たちの毎日を忙しくする。
やがて兄の足や出生のことにまで飛び火し、生きていると必ずとこかで起こる災いと向き合わなければならなくなる。
それぞれの気持ちが丁寧に書かれていて、どんなことも他人事じゃない気になってくる。
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2015年05月01日 読了
伴鍋次郎は、妻が懐妊し、さらには西丸書院番士となることも決まり、幸せをかみしめていた。
しかし、妻と共に水天宮へ詣でた帰り、立ち寄った茶店でおかしな老人と出会ったために鍋次郎の未来は不安に塗り込められる。
やがて明かされる自分の出自。
父が受けた陰湿ないじめを知り、負の感情だけが大きくなるのが苦しい。
その気持ちをどうしようかと迷いながらも、鍋次郎が向かう先にはちゃんと安心できる結末があった。
後味の悪いいじめが後を引かなくてほっとする。
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2015年04月28日 読了
助産師になって6年目の有田美歩は、いろいろ問題もあるけどいい仲間に恵まれた職場で、忙しく働いていた。
そんなある日、運ばれてきた飛び込みの妊婦の名前を見た医師がおかしな態度を見せる。
羊水検査の結果に動揺する夫婦や、新生児室から子供を運び出す看護師長など、関わる人たちの事情は様々で。
そんな中で起こる、病院としての大きな不祥事。
現場の慌ただしさや問題点、最後にきっちりサスペンスまで含んで、読みやすいわりに読み応えもあった。
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