2014年11月15日 読了
奇異なことを好む中将に振り回され、今宵も宗孝は人気のない暗闇へと分け入っていく。
見た目はいいのに妖に興味があるせいで変人として名が知れ渡っている中将・宣能のお供として「泣く石」を見に行った宗孝たちが見つけたのは、石ではなく赤子だった。
その子供は高貴な生まれである印をもっており、成り行きで預かることになった宗孝は、姉たちの追及に耐え切れず自分の子だと嘘をついてしまう。
『とりあえばや物語』や『落ち窪姫』のような、どこか滑稽に大慌てする宗孝が楽しい。
事実と思惑が複雑に絡まり合い、それぞれが画策する中で、最後はきれいにほどけて最もいい結末に落ち着くため、すっきりといい余韻が残る。
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