夢の終わりとそのつづき 柚木草平シリーズ


 警察を辞めて8か月、無職同然の生活をしていた柚木の元へ、美女が訪ねてきた。
依頼はただ、ある家から出てくる男を1週間尾行すること。
不審なくらい簡単な依頼に2百万の報酬。
柚木は2日、男を尾行するが、3日目、男は公園のトイレで遺体となって発見された。しかも、胃も腸も空っぽの衰弱死という状態で。
さらに依頼者の美女までもが死に、柚木は昔の伝手をたどって背後関係を調べ始める。

 デビュー前の作品に大幅な手を加えた文庫化で、当初は主人公も柚木ではなかったらしい。
でもその性格はしっかり柚木で、めんどくさい人物を煙に巻いたり、美女に逆らえなかったり、権力へ大博打を売ったりと、ハードボイルドを気取る柚木の特徴はしっかり作られている。
面倒ごとに首を突っ込み、女には口説き文句を、そして噛み合わないセリフで話の腰を折る。
口説き文句と微妙にずれた会話のうるささが丁度よい息抜きとなっていた。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。