猿の悲しみ


 弁護士事務所で”事務員”として働く風町サエ。
ちょっと正当じゃない手段も使って依頼主のために情報を集めてくるのが裏の仕事。
モデルとの離婚のためプロ野球選手に請求された1億もの慰謝料を減額するためモデルの過去を洗っていたら、ついでに頼まれていたマンションで女が殺された事件も妙に気になる。
そしてサエがつかんだのは、34年も前の出来事。

 二つの事件が交互にやってきて混乱する。
でもサエの言動がさっぱりしているので重苦しくならず、凜花という面白い人物も出てきてやり取りに目が離せない。
事件もうまい落としどころを見つけられるが、このシリーズはどうも男たちに分が悪いようだ。
凜花の含み笑いが怖くて美しい。
もう一度「笑う少年」を読み返したい。

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