骨の記憶


2009年05月27日 読了
 人生の終焉を迎えようとしている夫婦。
癌に冒された夫を心の底からいたわり、看取るつもりでいた妻のもとに送られてきた一つの小包。
 そこから物語は始まる。

 ・・・・と思ったらいきなり時代が巻き戻り、しかも主人公が入れ替わった!
 
 小包の送り主が送った一生を子細に語り、死を前にしてやり遂げた事とは。
 貧しい出の少年が勝ち組へと上り詰める過程が細やかに描かれていて、心の動きまでしっかりと見えてくる。その一生が物語のほとんどを占め、ざくざくと読めるので気持ちがいい。
 プロローグの老夫婦につながるまでは見事だが、エピローグは納得がいかない。愛憎は表裏一体とはいえ、一人の人の性格がこうも変わってしまうものかという疑問。まだやることがあると思いつくが、それに辿りつく感情もなおざりで物足りない。彼らの人生はどんなものだったのかが全くわからないために、その愛情と恨みの深さが全く想像できないからだ。
 全体的にはおもしろかったし満足だけど、最後でコケた感が否めないのが残念。

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