プラスチック・ラブ


 中学時代の同級生・寛子が、ラブホテルで殺害された。高校二年生の木村時郎はどうにも気になることがあり、彼女の高校の友人を訪ねる。寛子が“プラスチック・ラブ”という言葉を残していたことを知り、事件を取材している柚木草平にそのことを伝えたことで、事件は進展する。

 高校生の木村が、中学時代の同級生の女の子が死ぬことで彼女たちの行動を調べ始める短編集。
時系列を考えればおかしなことが起こっている。木村が関わる女の子たちは各編ですべて違うし、季節は多少違ってもどれも高校2年という時期で、それがなんともない風に書かれている。
でもそんな設定と時間を無視しても、ごく普通の、毎日に退屈している高校生で人とはちょっと違う感性を持っている木村の様子は、殺人事件が起こっている割にはゆったりとした気分で読み進められた。
 柚木草平も一瞬登場し、彼のキャラクターが出来上がるための足掛かりのような木村くんだった。