吉原と外


 お照が母の再婚相手から命ぜられたのは、義父が務めている商家の若旦那が囲う妾宅の女中だった。
花魁になっていくらも経たずに身請けされた美晴は、お照の5歳も下だが女でも見とれるほどの美しさ。
義父からは、美晴が男を作らないように見張っておけといわれていていたお照だが、お照の前では飾らない本音を言う美晴に付き合っているうちに、複雑な友情を持ち始める。

 親の都合で婚期を逃し、今また主が妾というお照は、うんざりしながらも仕方なく美晴に従っていたはずだった。
でも、年下なのに吉原で磨いた観察眼で周りの人間の動きを見事に言い当てる美晴に、お照はほだされていく。
最後は男の身勝手からくる自業自得に巻き込まれそうになったりするが、強くいようとする美晴に助けられもする。
嘘しかつかないはずの花魁をどこまで信じていいのか迷いながらも、自分の感性を信じることにしたお照は、きっと美晴と仲良く暮らせるだろう。