赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE


 早朝、手漕ぎのボートで三人、人里離れた屋敷へと向かう。
私と鮭川は、声を持たない美しい赤目姫といられることで最上の喜びを感じていた。
そして訪れた屋敷で、さらにはチベットやナイアガラの滝で、それぞれが赤目姫と過ごした時間を話すうち、意識も時間も錯綜し、やがて混線していく。

 視点も時間も入れ替わり、また人物も入れ替わったりしていくため、どれが本来の自分の感情なのかすらわからなくなる。
もちろん脈絡もないし、結末もない。
ストーリーが破綻してただ困惑するままに終わった。
この手の物は苦痛。