鏡じかけの夢


 願いを込めて磨くと叶うというその鏡。
持ち手の願いを飲み込みながら次々と時代と人を乗り換えていく。
あの人の妻と入れ替わりたいと願う看護婦、踊り子に心酔する富豪、孤児と奇術師、貧乏から抜け出したいと願った双子。
叶った先にある事はおかまいなし。

 不思議な力に取り込まれ、手放せなかった人たちの物語。
ほとんどは不幸に終わるが、どれも思いもよらない場面がくる。
たいていは自分の望みだったために嫌な後味を持つサイコホラーで、意思のないはずの鏡だけが永遠に存在し続ける不気味さがじわじわとやってくる。
そんななか、奇術師と弟子の話は一つだけ口直しのように鏡への良いイメージとなった。