蝉かえる


 16年前、災害ボランティア中に見た少女の幽霊のことが気になり、再度その場を訪れたの青年から聞いた少しのヒントで、魞沢は真相を語りだす。
交差点で起こった交通事故と、団地で起きた負傷事件の謎。
虫好きの魞沢が、その場の虫と共に語る真実。

 静かに、淡々と話す魞沢の話が、時に虫の話にすり替わり、その時だけは熱く語り始めるという変わった探偵。
短編集なのでそれほど込み入ってはないし、虫と言っても割と身近な虫たちなのでイメージも沸く。
魞沢の語り口が優しいので、犯罪者からも悪意は感じないため嫌な気持ちは残らない。
少年の頃の魞沢からも、すでにその優しい探偵ぶりがうかがえてほほえましくなる。

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