黒を纏う紫


2012年01月29日 読了
 巨大都市が消費する膨大なエネルギーを賄う「特殊物質」。
それを扱う者達の間では、不気味な噂が囁かれていた。
その「特殊物質」は、危険ではあるが金になる。
 それを狙う者達も様々だった。

  近未来の東京を舞台にしたサスペンス。
賛否分かれるような感じ。
迫力もあるし勢力図も面白いけど、少し物足りない。
五条作品は長編のほうが力がある。

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花咲小路四丁目の聖人


2012年01月27日 読了
 シャッターが目立ち始めた小さな商店街には、イギリスで「最後の泥棒紳士」と呼ばれた伝説の人物が住んでいる。

 元・泥棒の娘の目線で語られるため、多少子供っぽい。
実は大きな秘密を持っているという大人のカッコよさは伝わるけれど、伝説の泥棒ならではの派手さは最後までない。

 小路幸也の本の中では軽めで、物足りない。

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確率捜査官 御子柴岳人 密室のゲーム


2012年01月26日 読了
 数学を使って、ヒトを観察し、被疑者の取り調べをする。
その主人公である御子柴は、性格破たん者と言っても過言ではない。

 おそらく普通の人が何気なく行っている言動を、数学を使って理論的に説明していく。
 その発想はおもしろいけど、内容はかなり残念。
八雲シリーズも他の作品もおもしろいのに、これは失敗。

 『謎解きはディナーの後で』と同類。
あれが面白い人はきっと楽しめるだろう。

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怪談


2012年01月25日 読了
 「雪おんな」、「ろくろ首」、誰でも知ってる怪談を思い浮かべながら読む。
 一つ一つは短い話だけど、そっと後ろを振り向きたくなる、うすら寒い話たち。
 ラフカディオ・ハーンの本をちゃんと読んだことがないので、一度探してみようと思う。

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熱氷


2012年01月23日 読了
 最愛の姉が死んだと連絡が入り、カナダから日本へと帰国した石沢恒星。
姉が残した甥とやっとうちとけてきた頃、甥が誘拐される。

 複雑な人間関係と登場人物の多さで多少混乱するが、忘れる間もなく読み進められるために気にならない。
 悪人だと思った佐々木も、違う一面から見ればただ哀れなだけだった。
 
 氷を撃つ男の生き様が、とてもかっこよかった。

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魔女は甦る


2012年01月21日 読了
 一目の少ない地方の田園地帯で、細切れになった人間の肉片や骨が発見される。
製薬会社の研究員だったその死体の捜査をするうち、近頃都会で問題になっている「ヒート」と呼ばれる麻薬との関係が浮き上がってきた。

 前半とクライマックスでは、違った物語かと思うほどスピード感が違う。事件を追う埼玉県警の槇畑刑事の性格までも変わってしまったかのようで、ゾクッとするほど怖い。
 そのせいか、読後感はなんだか痛みが大きい。

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ヨリックの饗宴


2012年01月17日 読了
 失踪した兄。このままいなくなって欲しいと思っていたが、彼を探す者たちが突然やってくる。
 流されるまま行方を追ううち、ハムレットになぞらえた長い長い謎に出会う。
 
 登場人物も、息をのむ流れも、時の権力者による長年の秘密も、惹きつけるのには充分なのに、最後に失速した。
大がかりな仕掛けは肩すかしで、秘密は眉つばものの埋蔵金のまま何も出ず、すっきりしない。
中盤までとても面白かったのに残念。

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エデン


2012年01月15日 読了
 ストリート・ギャングの亞宮は抗争で捕えられ、施設に入れられた。
 そこは、巨大なドームで覆われ、囚人の自治が認められた不思議な刑務所だった。
 どこにあるのか、名前はなんなのか、なぜ入れられたのか。
 訳がわからないまま次第に慣れ、やがて奇妙な思惑を感じるようになる。

 閉鎖された空間の、何者かが操る奇妙な自由の中で、何を起こさせようとしているのか。
全体を見回せないもどかしさの中で上手く立ち回る奴らの考えが、破壊する快感を分けてくれて、なぜかとても心地よかった。

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明日のマーチ


2012年01月13日 読了
 派遣切りにあった若者4人が、山形から東京まで、歩いて帰ることにした。
 野宿をしながら歩くうち、行程をのせたブログが話題になり、次第に支援や批判も受けるように。
さらにメンバーは後に続く人たちで膨れ上がり、非正規社員の雇用問題を作り上げた厚生労働省に力を借りる羽目にもなる。

 派遣社員の雇用問題だって、一人づついろんな問題があるんだよと言ってるんだけど、なんだか石田衣良らしくない作風。
キャラクターにも問題にも話の流れにも、少しづつ曖昧でどれにも少しづつ納得できない。

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明日のマーチ [ 石田衣良 ]
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営業零課接待班


2012年01月09日 読了
 退職勧告書を渡された真島は、迷った挙句に退職届を提出すると、営業本部長に呼ばれた。
 そこから、聞いたこともない部署に勧誘されてしまう。

 「被取締役新入社員」を読んで以来、次はどんなものが出てくるのかとずっと楽しみにしていた。
 今度もかなり突拍子もない発想かと期待したが、前半は少々薄口。
しかし最後はいい方向へ導いてほっこりと終わる。

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営業零課接待班 [ 安藤祐介 ]
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