蔦屋重三郎の店・耕書堂へ、行き倒れ寸前でたどり着いた磯五郎。
戯作者になりたい一心で蔦屋へ来たと訴え、蔦重の言うことを聞いたら考えてやると言われてやる気を出す。
蔦屋には、口が上手く思いついたらすぐさま行動する威勢のいい大男・鉄蔵、能役者だが絵が好きで、存在感のない十郎兵衛、そしてひたすら気が弱い瑣吉といった個性豊かな変人が集まっていた。
日々のどんなことでも戯作のネタとしようとする磯五郎は、商才があると太鼓判を押されながらも戯作への熱意を貫き通す。
しかし、興味があるというだけで人を追い詰めてしまう鉄蔵や、人にはない画力であっという間に売れ、そして姿を消す写楽に比べるとキャラクターとして弱い気がしていた。
ところが、これほど癖の強い者たちをまとめてしまう力はさすが。
いずれ大物として世に出る者たちばかりがこんな風に集まっていたのかもしれないと想像すると楽しくなる。