使用糸 パピー クイーンアニー
「ベルンド・ケストラーのミトン」より
グレー×青 64g
青 84g
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読書と手芸の記録
使用糸 パピー クイーンアニー
「ベルンド・ケストラーのミトン」より
グレー×青 64g
青 84g
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使用糸 パピー クイーンアニー (987)
「アラン&ガンジーニット」から
メンズガンジーセーター 831g
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毎日同じ世界の夢を見ていることに気づいた大学院生の亜理。
ハンプティダンプティが死んだと聞いた次の日、大学へ行ったら、玉子というあだ名のポスドクが転落死していた。
妙な符号に不気味なものを感じた亜理。
夢の世界では自分が容疑者になっているのを知り、同じ夢を見る同級生の井森と犯人探しを始めた。
アリスの世界の、話を混乱させる言い回しが多用されつつ、だんだん死人が増えていく。
ほとんど進展もしないうちに次々と事件は起こるが、結局はただの思い違いで決着がついた。
夢の世界である不思議の国での出来事と現実がリンクしている様子は面白いが、もったいぶったあげくの結末がこれかと思うとガッカリする。
伏線を回収し、推理してつじつまを合わせる楽しみが感じられない。
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御一新に伴い、全国の寺院や城が壊され、美術品も海外に流出していく。
そんな日本をさみしく思う一人の男が、留学中に観た大英博物館のようなミュージアムを作りたいと願い、叶えた町田久成の物語。
小説というよりエッセイのような雰囲気の一人語り。
強い願いをただ持ち続け、様々なことをあきらめ、譲歩しながらも夢をかなえた久成の心情が、長年持ち続けた情熱を感じさせない静かさで描かれている。そのため、時々退屈に感じる。
まだ日本にはなかった博物館という概念を形にした久成をの人となりには興味がわいた。
そのあたりはもう少し描いてほしかったと思う。
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始発の電車で出会ったクラスメイト。特に親しいわけではない。
女子高生3人が、ファミレスでかわすいつもの意味のないおしゃべり中、意見が対立する。
遊園地の観覧車でなぜか男二人になってしまった。
そんな、ちょっと気まずい密室での出来事。
『体育館の殺人』、『水族館の殺人』、『図書館の殺人』などの作者。
普通の日々の中で、ちょっと観察するとわかるけど、なんとなくどうでもよくて見過ごしている謎を拾い上げる。
短編集として、結末は「まだもう少し気になる」程度で終わらせてあるため、どれももうちょっと読みたいと思わせる。
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足を悪くして芝居をやめざるを得なかった兄と、唄と常磐津の稽古屋をしている兄妹。
やってくるお弟子さんに稽古をつけながら、二人は穏やかに暮らしていた。
ご近所さんや芝居仲間、手伝いに来てくれるようになったお光のことなど、日常の細々を丁寧に語る。
兄の足が悪くなった経緯が忌事のように隠されているが、それほど嫌味でもなく、やがて知れる事として大事にされているようで心温かい。
どんな傷もやがて気持ちの区切りがつく時が来るといわれているよう。
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鶏肉をめぐるいろんな小話。
似てるけど、好きなトリの部位が違う少年たち。妙に気が合って、年に一度だけ家に遊びに来ていたのに、ある時急に合わなくなった。
そしてその親たちのぼやき。
よく通っていたコンビニの事情、など。
「肉小説集」とは違い、なんだか不幸だったり不憫だったりする読後感ばかりで気が滅入る。
移り変わる主人公同士のつながりもさして興味をひかず、ただの一人語りで終わる。
トリ料理も魅力的に書かれていないので、最後まで気が乗らないままだった。
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母の介護のため刑事をやめた藪下。その彼に、ペットショップ放火事件の調査依頼が舞い込む。
その事件には、報奨金が掛けられていた。そして藪下を指名したのは「警察マニア」の淳太郎という男。
さらに火事現場を不自然に観察する少女と出会ったことで、3人は報奨金のために手を組むことになった。
3人とも個性豊かだが、「法医昆虫学捜査官」に比べ薄い。
しかし、謎の少女として登場した一花の特技は異彩を放っていた。当初は藪下のいう「表情の乏しい人間は、無意識に敵意を抱かれるし警戒される。」という描写のままの、扱いずらい人間のようで嫌悪感が沸くが、ただ気持ちの表現が下手なのだとわかってきた頃に面白くなってくる。
そして狩猟や罠猟の話は興味深い。
このチームはこれからも続きそうだ。
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使用糸 ハマナカフーガ 10玉
「アラン&ガンジーニット」から
アランマフラー 284g
その模様を使って帽子 81g
「大切に使いたい 手編みの小物」から
とんがり帽子 72g
江戸で、わずか10か月ほどで姿を消した謎の絵師・写楽。
彼には表だって名乗れないわけがあった。
能役者が本業の十郎兵衛は、非番の時にだけ書くと決め、自身のうちに潜む黒々とした後悔と自責の念を紙にぶつけるように描いていた。
それはこれまで見たこともないような描写で、見るものに衝撃を与える絵だった。
謎の絵師はどう生まれたのか。なぜ1年もたたずに姿を消したのか。
その強い印象を残す絵はどんな心持で描かれたのか。
その心の内は、強烈に描かれているが、その一端となるお喜瀬が妙に気持ちの悪い書かれ方をしている。
性別ではなく、人となりが。
写楽となった十郎兵衛を描くなら、許嫁となった香都のほうを絡ませたほうが読みたかった。
その違和感が、お喜瀬の気持ち悪さとしてずっと残る。
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