神奈川県警刑事部長・竜崎伸也のもとに、著名な小説家・北上輝記が小田原で誘拐されたという知らせが入る。
同じ小説家で友人だというミステリ作家・梅林の助言を得ながら、犯人の行方を追うが、行方はおろか、犯人からの要求すらないため、捜査は全く進まなかった。
同じころ、警視庁管内で殺人事件が起こっていた。
淡々とした竜崎の事件。
他の場所で起こった事件とかかわりが出てくることはよくある事なので予想はできてくるが、竜崎と梅林の個性が強調されていて、竜崎に良き友人ができたようだ。
読書と編み物の記録
神奈川県警刑事部長・竜崎伸也のもとに、著名な小説家・北上輝記が小田原で誘拐されたという知らせが入る。
同じ小説家で友人だというミステリ作家・梅林の助言を得ながら、犯人の行方を追うが、行方はおろか、犯人からの要求すらないため、捜査は全く進まなかった。
同じころ、警視庁管内で殺人事件が起こっていた。
淡々とした竜崎の事件。
他の場所で起こった事件とかかわりが出てくることはよくある事なので予想はできてくるが、竜崎と梅林の個性が強調されていて、竜崎に良き友人ができたようだ。
あの名探偵ホームズが、スランプに陥った。
悩み続けた挙句に引退宣言までするホームズを、ワトソンはどうにか立ち直らせようとするが、それには12年前にホームズが解決できなかった事件が関わっているらしいことが分かる。
さらに妻のメアリ―がホームズのライバルであるアイリーン・アドラーの事件簿を小説にして発表し始めた。
妻の裏切りに少しも気づかなかったワトソン。
やがて12年前の事件をもう一度調査しようと問題の館へ向かう。
舞台は京都!
ホームズやモリアーティもいるのに地名は京都というおかしな設定だが、なぜか違和感なく読み進められた。
さらに途中でロンドンへと移る。
メアリが亡くなっていたりワトソンが貧相な下宿に住んでいたりといろいろ設定が異なり、さすがに混乱したが、やがて理由は明かされる。
おかしな世界がいくつも入り混じった、不思議満載の物語だった。
それでも不思議と読みやすい。
全寮制男子校である霧森学院の旧寮「あすなろ館」。
昨年起きた“ある事件”のせいでほとんどの生徒が新寮に移ってしまい、今はたった6人の生徒しか入居していない。
入居者の一人、兎川雛太の部屋に同居人としてやってきた転校生は、人に興味がなさそうな冷めた鷹宮絵愛だった。
ある日、学校の生徒会長の湖城龍一郎が何者かに殺害され、現場の状況から犯行が可能なのは「あすなろ館」の住人だけという状況になってしまう。
ヒナ(雛太)とエチカは、自分たちの容疑を晴らすため、独自に調査を始める。
学園探偵もので、去年の事件からのつながりがありそうだということで連作かと思ってしまったが違うようだ。
元気で行動的なヒナと、冷静な観察が得意なエチカが推理を進める。
ところどころで、決定事項のように語られることに疑問が沸いたりとおかしな点もあったが、思いもかけない動機が浮かんできて結構楽しめた。
黒猫のクロは、自殺しようとする料理人に出会い、体を張って助けるが、その男の心は闇でいっぱいだった。
一方、ゴールデンレトリバーのレオもまた、新たな「未練」を解決しようと動き出すが、二人が助けようとする人たちには、ある共通点があった。
それらの謎を解いていくと、すべては一つの家族に行き当たる。
人が死んだ後の魂を導く「死神」とう仕事をする二人は、犬と猫となって人の世界へ落されていたというシリーズ。
前作があるのを知らずに読んだが、きちんと説明が入るので困ることはなかった。
童話のような設定のためどんなに惨い場面でもどこかふわふわとした雰囲気があり、読みやすいが都合も良い。
優雅な余生を送るはずだった老舗糸問屋・嶋屋元当主の徳兵衛。
しかし孫の千代太が犬猫にとどまらず人の子までも拾ってくる。そのため静かなはずの隠居屋は常に賑やか。
さらにそこでの出会いが新しい商いを生んだり、徳兵衛は忙しい毎日に充実していた。
しかし、家族に起こった問題ごとに気づかず、徳兵衛は家族との最大の危機が待ち受けていた。
隠居はしても、何もないとただ暇を持て余す。
そんな生活に張りを与えていたのが、新しい商いと孫を含めた子供たちだった徳兵衛。
そんな彼が、何よりも苦手な恋路の問題に悩まされることになった。
頑固で意固地な自分を自覚しながらも、どうしていいかわからずにいる様子は微笑ましいが、当事者となると大変迷惑なもの。
だけどそれを溶かすのもまた家族で。
最後は優しく降る雪がすべて洗い流してくれたよう名ほっこりした場面で終わる。
出版社の経理部で働く久美子。気まぐれで書いた提案書がワンマン社長の目に留まり、急遽編集長を言い渡された。
編集経験皆無の久美子と、同じく他の課から集められた素人集団で、新しい雑誌を作ることになり、戸惑う久美子。
しかも彼氏の学まで部下となってしまう。
唯一編集の経験がある学に頼る久美子だが、女性誌なのにどうも目線が違う方向へ行こうとしている。
無事創刊できるのか、誰もがいっぱいいっぱい。
お仕事小説。
似たようなドラマを見た気がするが、違うものだった。
そして軽くてどんどん読めるのであっという間に終わる。
ピンチもあるが、最強の隠しコネのおかげですんなり片が付く。
とても分かりやすい結末だった。
雨の続く梅雨、お草が営む珈琲豆と和食器の店・小蔵屋では、ゴミが荒らされる日が続いた。
黒い自転車で走り去る人影を目撃して怖くなっていたが、お草はある日散歩の途中である小屋の隅で自分のゴミを見つける。
さらに、小蔵屋がある映画の撮影予定地となり、噂を聞きつけた近所の人たちの注目の的になってしまう。
だが監督と面会すると、彼はお草に頼み語ををした。
ある人物を探してほしいと。
小蔵屋の周りがまた騒々しくなる。
不審者の素性はすぐにわかるが、それでも騒動は収まらず、久美と一ノ瀬の問題にまで発展し、お草は心が休まる日はない。
それでも毎日暮らしていかなければならず、お草は思うようにいかなくなってくる体と共に静かに祈り、でもちゃんと行動を起こす。
今回は一つ一ノ瀬が大きな決断をし、ふわりとした気分で終われると思ったら、なんだか賑やかだった。
三遊亭円朝と深い関係にあった女たち5人を、弟子の五厘が語る。
江戸から明治に変わる頃、身分違いの恋や全盛を支えた女、養子として育て、円朝の最後を看取った女など、円朝自体ではなく、彼の周りを彩った女たち。
長く一緒にいた弟子だからこそ知っている事を、高座で語りかける口調で紹介していく。
円朝本人の話ならたくさんあったけど、彼の周りの人間だけを語る話は珍しい。
しかもそれがどれも女とくれば、興味は大きくそそられる。
傍から見た円朝の様子は年と共に印象も変わり、それもまた観察できて面白かった。
ロクデナシの父親から急に呼び出されて行った先には、見ず知らずの女性の死体があった。
なぜか通報もせず死体を捨てに行くことになってしまった朝陽。
殺人事件を捜査中の刑事が、橋から突き落とされて死んでしまう。
いくつかの殺人が入り乱れる、まさに交差点。
関係する人たちが順に入れ替わり、それぞれまた殺人を犯す。
もはや誰が誰で、中身が誰の時に誰を殺したのか混乱しながら読むしかない。
独り言が多くてそれも混乱をさらに大きくしていくため、一層複雑になっていき、解決するのか不安になってくる。
それでも一応は説明がされるが、その頃にはもうすっかり訳が分からなくなっていた。
大井の港湾倉庫で火災が発生した。ただの火災かと思っていたら、そこから冷凍された5人の死体を発見する。
最初に身元が判明したフリーライター・如月啓一が書いたと思われる原稿には、6人の素性が書かれており、警察はそこから身元を特定し、なぜ冷凍されていたのかを調べ始める。
少しずつ公表される如月のブログと警察の調べが交互に描かれ、冷凍されていた経緯や身元などが分かり始めると、より一層不気味な謎が深まってく。
彼らはなぜ、冷凍されていたのか。
一人ずつ判明していく死体の素性。
彼らは皆、死の間際にいたことが分かる。
そして彼らの、身震いを起こすほどの死への恐怖が伝わってきて恐ろしくなる。
ただ、警察の視点で描かれている部分がそれを中和させてくれいて、ホラーの部分が薄まっていたために読みやすかった。
コールドスリープ、不死、延命、緩和ケアなど、死を考える題材にはいいかもしれない。