夜にしか雨が降らなくなった世界。毎日夜が更けると降る雨に、人々は慣れつつあった。
しかし都市伝説のように語られる「雨坊」と出会った人は、不思議な死を遂げる。
昔、河童のような生き物に命を助けられた。
火星で生きて、地球へ行く試験を受ける人たち。
いろんな世界を織り交ぜた短編集。
不思議な世界がたくさんある。
中には救いのない世界もあるが、どれもほのかに悲しい。

読書と手芸の記録
夜にしか雨が降らなくなった世界。毎日夜が更けると降る雨に、人々は慣れつつあった。
しかし都市伝説のように語られる「雨坊」と出会った人は、不思議な死を遂げる。
昔、河童のような生き物に命を助けられた。
火星で生きて、地球へ行く試験を受ける人たち。
いろんな世界を織り交ぜた短編集。
不思議な世界がたくさんある。
中には救いのない世界もあるが、どれもほのかに悲しい。
太陽神の怒りを買った者がその身に様々な罰をうけるという。
壮耶は、相棒のヒカルと共に便利屋の仕事をしていた。
ある日受けた仕事は荷物運びで訪れた施設には割と裕福な部類の「呪詛持ち」が集まっていた。ここは療養施設だという。
しかしその施設では時間と共に呪詛が入れ替わり、人が死んでいく。
ここはなんなのか。無事に帰れるのか。
ホラーの部類に入る。
人の心身に身分の例外なく訪れる呪詛。
施設で宿泊者たちの持つ呪詛が次々に入れ替わっていく恐怖と、理由が分からない不気味さが矢継ぎ早にやってきて息がつけない。
怖いけど理由が知りたくて立ち去れない葛藤が謎解きのようで楽しく、理由が分かっても解決していないために続きが知りたくなって手が止まらなかった。
第15回日本ホラー小説大賞受賞。
遺体から様々な製品を作り出す「遺工」を家業とする庵堂家。
先代の父が亡くなり、今は長男がその仕事を請け負っていた。
父の7回忌を控え、久しぶりに三兄弟がそろった時、かつて父と付き合いのあった人物からのかつてない依頼が舞い込む。
不気味でグロテスク。
しかしストイックでどんなに心が削られようとも、怖くはなかった。
父が隠していた仕事と盟約が明かされ、兄弟の秘密も明かされ、どんどん巻き込まれていく。
47才、底辺からせどりで50億の資産を持つまでになりあがった女、夕映野遠火。
ブランド物の中古品を買い、キレイにしてから高く売るせどりで大金を稼いだ女として今日も配信しながらバーキンをプレゼントする。
遠火の会社「ブランゴール」という会社は、これから上場めざしているのだが、社長の遠火が突如、失踪する。
そしてインスタライブで突如、「わたし、ずっと殺したい奴がいる」と発言し、自分の人生を壊してきたかもしれない相手の復讐を誓う。
遠火はなにをしようとしているのか。
一緒に会社を興してきた仲間は冷や汗をかきながら遠火を探し回る。
会社がとうとう上場するという段になって、誰にも分らないことをしでかす。
最初のテンションの高い配信用ノリに置いていかれたような気分になるが、遠火の思惑が分からず困惑する仲間と一緒の気持ちで遠火を見守ってしまう。
遠火が次に何をやらかすのか、興味はずっと続いた。
第46回小説推理新人賞受賞作。
稲荷神となって三百年。誉人」として選ばれた人間の願いを叶えるため、日々神社で人々の願いに耳を傾けている。
今回やってきた誉人の女は、病におかされ余命わずかにもかかわらず、「どうか私が殺されますように」と願った。
ただ願いをかなえるだけではなく、誉人なぜそれを願うのか、きちんと判断して叶えないといけない。
人は言わない事も多く、それを見極めるために稲荷神は人に化けて事情を探っていく。
落ちこぼれの神が、天に帰れるように100人の誉人の願いを聞かなければならない。
しかし人の気持ちがイマイチわからない稲荷神は頓珍漢な事をしたりもする。
近くの弁財天と協力して願いをかなえようと奮闘するうちに大事だと思えるものを見つけていく。
ちょっとずれた稲荷神と、それぞれの眷属である狐と白蛇のやり取りがかわいい。
深川佐賀町の水茶屋「ささげや」の女将・お玉。
彼女には裏の生業がある。それは人の掌から「人生の束の間が観える」というもの。
看板も挙げておらず、宣伝もしてはいないのに、口コミで信用できる人が時々訪れては、将来を占っていく。
そんなお玉と出会う人の中には、同じように勘が鋭かったり人が気づかぬことをよく観察していたりする者がいつの間にか集まっていた。
ちょっと変わった特技を持つお玉。
お玉の噂が易者たちを不安にさせたりもするが、総じて悪意を持つものは近寄ってこない。
いつしか店を譲れるほど信用を寄せる者もでき、先行きを案じていたのが嘘のような幸せもやってきて、穏やかな気分で終われる。
日ノ出楽志はもうすぐ父親になる。
だが不器用で家事では今でも失敗ばかり。
そしてやっと続いていた仕事もリストラされてしまい、楽志は落ち込むが、物を大切にするという楽志の得意な事を生かしてリサイクルショップに就職することになった。
楽志は知らなかったが、楽志が名付けた家具たちには、ココロが宿っていた。
家具たちのつぶやきが賑やか。
だけど内容は童話。
いずれ何かが起こるのかと期待したが、ずっとほのぼので終わった。
ぎんなみ店街で起きた不穏な事件に四兄弟が挑む。
シスター編で起こった事件を違う目線で追う兄弟。
元太・福太・学太・良太の兄弟で母は早くに亡くなり父は海外赴任中。
同じ事件が全く違う真実にたどり着いていた。
姉妹編よりも兄弟の個性が出ていて面白い。
違った目線で見れば違う真実にたどり着くのが不思議。
ぎんなみ商店街に店を構える「串真佐」。
焼き鳥屋の3人娘はそれぞれ佐々美、都久音、桃という。
ある日、近所の商店に車が突っ込み、運転手は焼き鳥の串がのどに刺さって即死する。
詮索好きの友人を止めるため、都久音は捜査に乗り出す。
商店街と、住人たちの間に起こる事故や事件の謎に、三姉妹は乗り出す。
名前の性で子供の頃からからかわれていた都久音。
詮索好きの友人には秘密にしていたが、だけど家族も商店街も好きだから、姉妹を巻き込んで捜査に乗りだす。
わいわいした雰囲気が楽しいが、推理というより想像と妄想で盛り上がっていた。
25歳のサチコは、不条理な派遣労働から逃れるように亜熱帯の台湾に渡り、偶然再会した在日コリアンのジュリと、台北の迪化街で暮らしていた。
誕生日の晩、サチコが古物商の革のトランクのなかに日本統治時代の台湾を生きた女学生の日記をみつける。
その日は買わずに帰ったサチコだが、ジュリがプレゼントに買ってくれ、中に入っていた古い日記を見つけた事から二人の生活は一変する。
それは、70年以上前に行方不明になった少女のものだった。
古い日記を見つけ、その書き手の事が気になり、少女の事を調べ始めた頃は、歴史を調べるくらいの気持ちでいたのに、いつの間にか少女失踪事件につながっていく。
日本と台湾の歴史的な事実による確執も加わり、どこか暗い時代。
日本と台湾をルーツとする二人が辿るのは謎解きの感覚もあって興味が続くが、次第に物騒になっていくあたりで失速。
でも、二人が前向きになっていくので辛いまま終わらなかったので気分よく読み終えられた。