2009年09月03日 読了
元KGBの殺し屋・ヴィクトルが4年ぶりに来日した。連絡を受けた倉島警部補は、その目的を調べ始めた。テロか、犯罪か。
足取りを追うためにロシアに渡った倉島たちの前で起こる銃撃戦。
「曙光の街」の続編といえるこの作品。日常を離れ、公安やテロリストたちの世界に浸る。白夜を見た事はないけれど、その舞台はさらなる幻想へと導いてくれる。
テロリストなのに、ヴィクトルは誰からも憎まれることがない。
その不思議さもおもしろい。
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読書と手芸の記録
2009年09月03日 読了
元KGBの殺し屋・ヴィクトルが4年ぶりに来日した。連絡を受けた倉島警部補は、その目的を調べ始めた。テロか、犯罪か。
足取りを追うためにロシアに渡った倉島たちの前で起こる銃撃戦。
「曙光の街」の続編といえるこの作品。日常を離れ、公安やテロリストたちの世界に浸る。白夜を見た事はないけれど、その舞台はさらなる幻想へと導いてくれる。
テロリストなのに、ヴィクトルは誰からも憎まれることがない。
その不思議さもおもしろい。
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2009年09月01日 読了
革命期フランス、作者のもっとも得意とする分野。
宮廷内、微笑みと耳触りの良い会話に隠された思惑を読み取れない者は利用されていく。
市井であってもそれは同じ。薪をふんだんに使える生活がしたい、ドレスをまとい、柔らかなベットで眠る生活を。。。
そして今に生まれついた運命を変えたいと望む。
短編であるため、各物語はあっというまにすぎてゆく。でも毎日はたぶんそんなもので。それでもフランス王妃マリー・アントワネットが脇役で登場する物語は、印象深い。
信念を見つけ出すために費やすエネルギーは、静かに疼く種火のようなものかもしれない。潜む力が香り立つような目をした男の魅力が描かれていて素敵だった。
でもやっぱり長編が読みたい。
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2009年08月28日 読了
ホストだった父親のようにはなりたくないと思ってホストになった男に、ホストに心を壊された母をもつ男がホストになって戦いを挑む。
私が女だからか、なんだか違和感と嫌悪感のまざった内容だったけれど、途中で投げ出すほどではなかった。結末はそれとなく窺えたし、流れも予想の範囲を超えなかったけれど、文章は読みやすかったし、集中して読めた。
ただ、「この人はこんなもんではない」という意見が多かったので、ほかの作品も読んでみたいと思う。
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2009年08月27日 読了
第八回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作
時は2018年。精神病治療はバーチャル記憶療法士が患者の記憶に潜入し、トラウマとなっている部分の記憶を変える。
自分をバーチャル化し、人の記憶の中に入り込み、戦い、説得し、トラウマのせいで記憶の一部をせき止めたり書き換えたりしている検閲官に勝つ。そして患者の心のトラウマを取り除いていく。
バーチャルに入ったり、そこで気づついたらリアルでも傷を得、取り残されれば植物状態。。。
なんだか設定が「マトリックス」に似ている。
でも文句なくおもしろかった。小難しい設定があるのかと身構えたがそんなことはなく、ヨーロッパの歴史を絡ませていて引き込む力も大きいうえに、アリスの世界のような謎解きでかわいくもある。
一気に読める作品だった。
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2009年08月25日 読了
宗教団体教祖を狙った奇妙な連続誘拐事件、驚くべき頭脳と体力を持つが集団行動には向いてないと評価された自衛隊員。
そしてイスラエル大使館の肩書を持つ一人の男。
あらすじを見ても分かりにくいだけでいまいち興味をそそらない。
でも。
軽快で一気に読める。相変わらずこの人の話はぶっとんでいる。
深いテーマだったり人が死んだり、いちいち暗い事が起こるのにざっくりとかわして豪快にまとめるので、読み終わりは充実感と達成感が残る。
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2009年08月24日 読了
21歳の大学生・聖が、元大物国会議員・大堂剛の事務所に事務員として勤めている。
引退したとはいえ、その事務所には大勢の弟子たちから様々な「問題」がもちこまれてくる。
わかってみれば「なぁんだ」と思うような小さな事件だけど、ほっておけばややこしい問題にもなりかねないようなことを、聖は面倒くさがりつつも解決していく。
種明かしは推測もさせないで最後までとっておくのはこの作者のいつもの手。
主人公は聖なのに、大堂剛でいる気分にさせられた。爽快。
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2009年08月22日 読了
TBS・講談社 第1回ドラマ原作大賞選考委員特別賞受賞作
天下統一が目標の達夫と出会った恭平は、暴走族特攻隊長をあっさりと辞め、二人でガンガン喧嘩をすることに決めた。
有り余るパワーとその個性が魅力的な達夫と、納得いくまで調べ、分析する恭平がうまいぐあいに周りから目をつけられていく。
最初からずっと喧嘩シーンがとぎれない。それにうんざりしてきた頃に登場するセブンという「伝説の男」。
セブンの登場になごまされ、進行方向が変わったかなと思わせられたが、それっきりでまた喧嘩づくし。
最後までそれだったから私には嫌悪感も大きかったけれど、最後にセブンがふらりと登場、そこからはすっきり爽やかにまとまってしまった。
「被取締役新入社員」と違って万人受けはしなさそうだし、喧嘩ばかりでストーリーが進んでいるのかわかりにくい面もある。
ちょっとものたりない。
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2009年08月18日 読了
動物の絵と並んでいたらネズミに見える絵でも、人間の顔と並んでいたらお爺さんの顔に見える。ラットマン。
前後の並びから推測して先入観を持ってしまったり、思惑が認識を様々に変えてしまう。
それらのラットマンによっていろんな角度で受け取られ、少しずつ誤解を生みながら進んでいく事件。
人は勝手な推測でそれが真実だと思いこんでしまうが、それが一人じゃなく周囲の人間それぞれがそれぞれの思い込みで行動した結果、真実を混乱させる。
登場人物の思いを巧みに絡ませているのはすごいと思うが、ラストのあたりでどうにでも転がせるほど執拗にどんでん返しを狙うのはやりすぎてしつこかった。
緻密に練られたシナリオというより、最後でつじつまを合わせるためにどうとでも取れるようにしておいたという感じがしてしまう。
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2009年08月12日 読了
一つ一つのわずかなつながりが次の時代へと続く。
静かで、夢の中で小さな呼吸を繰り返しているような感覚になる短編集。
それぞれの主人公がささやかだけど頑なにこだわりを持った人たちで、その強い思いはしっかりと伝わってくる。
ただ、インパクトに弱く、引き込まれるほどではなかった。
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2009年08月09日 読了
「しばらくのあいだ、新宿西口には近寄らないで」。。。
バーでピアノを弾いている主人公、タクトは、不思議な力を持つ彼女に忠告された危険をあえて呼び込んだ。
サントリーミステリー大賞受賞作『セカンド・サイト』の主人公がまた走り回る。
前作ではキャバクラのボーイだったから、始めは主人公が同じ人物だと気づかなかった。でも相変わらずの行動力、そして触れたものの未来の「ビジョン」を感じる彼女、花梨。
今回もアブナイ人たちを相手に大立ち回り。
前回同様の行動力と、特別な存在である彼女に少し困惑している様が生々しくていい。
そしてなにより存在感のある友人アキラの力添えも大きかった。
個人的にはアキラが一番魅力的。躍動感のあるストーリーになっているのは彼の存在のおかげだと思う。
彼女の存在がちょっと曖昧で無意味に思えてしまったことと、最後がなんだか尻切れトンボではあったけれど、それは次回を待てということか?
待ってやろうじゃないの。
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