2011年05月08日 読了
世界で初めてコールドスリープを経験した少年。
その眠りを傍らで見守り続けた女性。
一昔前の、SFの世界の話だったコールドスリープが、
海堂尊が描くと本当にある技術のように感じる。
全てが地下で行われ(実質的にも政治的にも)、静かに終息した感じがあるが、最後の「本当の笑顔の写真」のおかげで読後感は暗くない。
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読書と編み物の記録
2011年05月08日 読了
世界で初めてコールドスリープを経験した少年。
その眠りを傍らで見守り続けた女性。
一昔前の、SFの世界の話だったコールドスリープが、
海堂尊が描くと本当にある技術のように感じる。
全てが地下で行われ(実質的にも政治的にも)、静かに終息した感じがあるが、最後の「本当の笑顔の写真」のおかげで読後感は暗くない。
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2011年05月03日 読了
小学生4年生、幼馴染の3人は、魔法使いになるために毎日練習をしている。
子供のころ信じていたおまじない。
成長するにつれて、次第に心を閉ざすようになる主人公は、その頃のおまじないに囚われたままのよう。
嫌な予感は最初からあったけれど、無邪気な頃から素直に成長する友人との明暗がくっきりと出ていて痛々しい。
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2011年04月16日 読了
桜宮のシンボル「でんでん虫」では、人が死にすぎる。
終末医療、寺、火葬場と、死の一連の作業をすべて備えたその病院で一族が行っていた、人の「死」に対する最先端医療。
赤い薔薇を受け取り、螺鈿に縁取られた部屋で眠る。
夢と現を行き来するような、あやふやな現実を作り上げた。
似たような話をどこかで読んだが、やはり必ず破滅を迎える。
今の日本ではそれが常識なのか。
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2011年03月05日 読了
「日本一のド田舎」と評された日本の秘境・牛穴村。
通訳が必要なほど強い訛り、見た事もない食材、すべてが血縁というわけではないのにほとんどが同じ姓。
純粋に田舎といえる要素が詰まった村と、倒産寸前の広告代理店が起こす奇抜な村おこし。
真面目にやっていることが笑いを誘う。いや、苦笑いか。
第10回小説すばる新人賞受賞作。次に期待。
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2011年03月03日 読了
心臓外科専門の病院を作る。
そのために選ばれた医師はとんでもない人だった。
これはいわゆる「繋ぎ」か。
ブラックペアンからチームバチスタへと続く繋ぎ。
およそモラルという単語からは程遠いと思われる天城の言動が、周りを巻き込み口をはさむ暇もない。
そのスピーディさが売り。
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2011年02月26日 読了
黒川鈴木。どちらも名字みたいな珍名の彼は警察官。
無能な部下・白木とのやりとりに力が抜ける。
時々現れる黒川の妻の存在感が強烈で、その毒もだんだん強くなってくるのが心地よくさえある。
妻の毒気と黒川の情けなさがかわいい。
しかし、最初の頃でてきたゲームの話はフェードアウトしてしまい、最初の印象付けは全く意味がなかったのが残念。
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2011年02月11日 読了
母が家出した。
突然弟(5歳)と二人暮らしになった私(17歳)は、少しも困らなかった。
恋多き女の母に、彼氏ができたのだろう。
親が家出したのに妙に冷静で、それなのに子猫が捨てられているのにはどうしようもなく怒りを感じる。
だから、母を探すことなどしないけど、猫たちを助けたいと思って無謀な策を弄する。
傍から見ればおかしいかもしれないけれど、自分にとってはとても筋の通った感情の動きだから、やるしかない。
10代の時の行動する意味って、こんなんだったかなぁって思い返す。
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2011年01月27日 読了
突然部屋に上がってきたものすごい形相の女。
驚いて思わず果物ナイフをつかんだら、殺しちゃったかもしれない。どうしよう。
勘違いがどこまでも広がり、殺人や裏切りや探偵なんかも出てきてドタバタコメディ。
赤川次郎そっくりの展開。後に残らず、軽い。
どうやらシリーズものだったらしい。
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2011年01月16日 読了
正明は孤独に慣れ、仕事場と寮の往復が人生のすべてだった。
そんな正明に出会いが訪れる。
大学院生だという春香と付き合い始め、正明は幸せだった。
彼女と出会うまでは。。。
読後感は非常に悪い。
正明の行動も納得したくない部分が多く、認めたくない事実だけを向けられているようで居心地が悪かった。
最後のトリックというべき3行が全てをひっくり返す。
どうやら著者はこうゆう返しが得意らしい。
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2011年01月14日 読了
仙人イワナを釣った親友が、鉄砲水に飲み込まれた。
事故か。自殺か。
好きな女性をめぐって親友とかわした約束を、あの日二人は破ったのか。
真実を確かめるために自分も仙人イワナを追い始めた主人公。
同じように仙人イワナを追う男と共に神馳池に向かう。
確かめる勇気も持てないまま、勝手な嫉妬のせいで相手からも不信を買ってしまう。
こちらから見ると情けない限り。
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