おまかせハウスの人々


2010年08月25日 読了
 人工知能の研究を目的とした子供型ロボットに心理を学ばせ、ヒトの表情や声のトーンを察知して相手の心を推し量ったり、ナノマシーンを体に入れて治療やダイエットをしたり、ほとんどすべての家事を代行してくれる家だったり。

 近未来の日本、色々な技術で今よりもずっと暮らしやすかったりするはずなのに、困惑も悩みも解決法まで、今とすっかり同じ。
そんな皮肉めいた哀しみが淡々と語られる。

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ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺2


2010年08月24日 読了
 不良が咄家に弟子入りした。
1年がたっても下っ端で、理不尽な師匠も相変わらず。

 サクサクと進み、読みやすい。
馴染んだ関西弁がメインだから、ニュアンスやスピード感が心地よい。
 もちろん落語を知らなくても充分楽しめた。

 ありふれた感はあるものの、若者らしい怖いもの知らずの主人公が楽しくて、「伝統芸能の世界でも、いずれこんな奴が出てくるかもなぁ」と思わせる。

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聖域


2010年08月12日 読了
 大学の山岳部の頃からのパートナー・安西が、難易度の低い塩尻岳で滑落した。
 どうしてもその事実が認められず、一人事実を掴もうと動き始める主人公。山岳ミステリ。

 これまで読んできたこの人の作品とは全く違った作風で、本当に同じ人なのかと疑ってしまうくらいだった。
 山のことは全く知らないので、道具類の名前などわからないものだらけだったが、そんなことは気にさせない。
 最後は観念的なところもあったがうまくプラスへ導いた。

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アブダラと空飛ぶ絨毯―ハウルの動く城〈2〉


2010年08月12日 読了
 絨毯商人のアブダラは、ある日空飛ぶ絨毯を買う。それを使い毎夜出会う美しい姫と恋に落ちたアブダラは、駆け落ちする直前で魔神に姫をさらわれてしまう。。。

 あれ、ハウルが出てこない。まだ出ない。出ない出ない。。。
と、思いつつ読み進め、いつの間にはアブダラの恋物語として楽しんでいる頃、ハウルと結婚したソフィーが登場する。
 そして実はハウルもカルシファーも側にいた。

 ゆっくり流れる砂漠の時間のような前半と、喜びをさえずる鳥たちがさわがしいオアシスにいるような後半。
 
 普段、私はほかの人の書評は読まないけれど、洋書だった場合は訳者のだけは読む。作者の国の風習や言い回しなど、独特の流れを教えてくれる場合が多いから。やっぱり原書で読めればもっとおもしろいんだろうなぁ。。。

魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉


2010年08月06日 読了
 映画を見てから、原作を読んでみたいと探した本。
児童書で童話のため、登場人物の性格が誇張されている。
 ソフィーは「長女は成功するはずがない」と思い込んでいるし、ハウルのひねくれも徹底している。
 執拗なほどのその主張は、「思い込みに惑わされていることに気づいて!」というメッセージであるらしい。童話ならではなんだろうか。
 作者はJ.R.R.トールキンに師事したという。

 映画とはかなりイメージが変わるが、これは読むたびに何か気付けそう。

小説探偵 GEDO


2010年07月19日 読了
 しがない広告屋の三神外道。通商ゲド。
彼は眠ることによって小説の世界に侵入できる。
現実世界の人物じゃないヒトが彼に依頼したのは。。。

 『飲んだくれで虚無と放蕩でガサガサに荒れた心の中に埋めがたい不全感を抱えた人物』と作者が言うとおり、ゲドはおよそ徳には縁のない人物。ストーリーに影響を及ぼさないことならなにをしてもいいために大暴れする。

 濃いキャラたちが多いためゲドの個性はちょっと埋もれがちだが、彼もまたなにやらアチラの世界に因縁があるようで。

 その辺りは思わせぶりなシーンで終わっていて、様々な小説のように作者でないとわからないわざといろんな想像ができる終わり方にしているのかと思ったら、いずれキチンと終わらせてくれるらしい。
 雑で乱暴な文章ではあるけれど、興味は充分そそられる。

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落下する緑 永見緋太郎の事件簿


2010年06月12日 読了
 ジャズトランペット奏者が主人公の、ミステリ。

 タイトルに惹かれた。表紙が奇麗だった。テーマがジャズとミステリで、サブタイトルに「色」の名が冠してある。

 私の好きなパーツがたくさん入っていて、どうしても読みたい本があったのに次にまわしてしまった。

 内容は作者の言うとおり「フツーの本格ミステリ」だったし、ジャズや曲名、奏者を知らないので流して読む所もあったが、音楽をやるヒトの気持ちは地下水のように濃く流れていて頼もしかった。

インディゴの夜 チョコレートビースト


2010年05月29日 読了
 シリーズ2作目。塩谷の粗野なところも優夜の紳士ぶりもホストたちの自由っぷりも相変わらず見事。

 晶の、どこがオシャレなのかさっぱりわからない若者の服装に対する疑問と、「義務教育を終えた人間が、自分のことを名前で呼ぶんじゃないの」などの、若者からしたらウザいおばさん並みの小言にも共感が持てるのは年のせいか??

 こんなホストクラブがあったら是非覗いてみたい。

インディゴの夜


2010年05月12日 読了
 一風変わったホストクラブ<indigo>。仕事仲間と副業で始めた店に舞い込んだ事件に首を突っ込むうちに結成された、にわか探偵団。

 ホストの男の子たちと渋谷の街を走り回る。

 主人公のフリーライター・晶が、最初はやたら男勝りで下品なのでどうにも嫌悪感が沸いたが、それもそれなりに慣れてくる。

 王道ホストの優夜がうまく中和してくれているためか、オオゴトなのにあっけらかんとしていて後味がいい。

DOWN TOWN/ダウン タウン


2010年05月04日 読了
 中学の2年先輩のユーミさんに誘われて入ったのは、なぜか男子禁制の喫茶店<ぶろっく>。常連さんはほとんど女性ばかり。

 喫茶<ぶろっく>に通うようになって、学校と家以外の居場所を見つけた。

 まだ先のことなんか全然わからないし実感もないけど、大人ってどんなものなのかを見た少年のお話。

 とってもこの人らしい作品。

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