2015年09月26日 読了
神田明神下の長屋に住む通いの摺師・安次郎は、その技の巧みさから、名指しで仕事がくるほどであった。
寡黙な安次郎の弟子・直助はお調子者で、彼が聞き集めてくる噂、兄弟の揉め事や色恋の悩みなどを放っておけずに話を聞く。
自分の仕事に絡め、人を説得するわけではなく技を見せながら、語らず悟らせる。
さっくり読めて後味も良い。
色んな事がすべて解決するわけではないところが妙に納得する。
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読書と手芸の記録
2015年09月26日 読了
神田明神下の長屋に住む通いの摺師・安次郎は、その技の巧みさから、名指しで仕事がくるほどであった。
寡黙な安次郎の弟子・直助はお調子者で、彼が聞き集めてくる噂、兄弟の揉め事や色恋の悩みなどを放っておけずに話を聞く。
自分の仕事に絡め、人を説得するわけではなく技を見せながら、語らず悟らせる。
さっくり読めて後味も良い。
色んな事がすべて解決するわけではないところが妙に納得する。
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2015年09月12日 読了
八咫烏が統べる世界。若宮の側近を辞した雪哉は宗家の近衛集団「山内衆」を養成するための訓練学校「勁草院」へと入る。そこは、身分の差に関係なくただ実力のみが意味を持つ学校。
そこで起こる様々な出来事や人間関係を通して、雪哉はいずれ来るであろう若宮の統治に必要な人材を見定めていた。
学校でのことだけかと思っていたら、最後はしっかり大事で終わり、前作で起こった事件の解決に向けた新しいこともわかってくる。
雪哉の成長がすばらしすぎて胡散臭いような気もするが、若宮の力も他にまだまだありそうだ。
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2015年08月27日 読了
絵を描くのが好きなフリーター・拓真は、もういっそ田舎へ帰ろうかと考えていた時、ふとあるメールに目が行く。
『才能ある絵師を探しています!』
やけくそで飛び込んだテノヒラ幕府という会社は、スマホゲームの制作会社だった。
そこで採用された拓真は、同期入社の55歳のおじさんの部下となり、絵の技術だけではないものをたくさん学ぶ。
ゆとり世代と、会社に尽くしてきた世代との違いは大きすぎて、それぞれの意見に納得しつつも、それぞれに反発心を感じてしまう。
自分はどちらに近いだろうと考える。
私は誰と働きたいかなど、考えてもしょうがないと思っていた。
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2015年08月24日 読了
日嗣の御子の后選びが行われている最中、当の若宮は何をしていたのか。
北家の領内、垂氷郷の郷長の次男・雪哉は、新年のあいさつに北家本家へ行った際、もめ事を起こす。そのせいでなぜか若宮の側近として1年務めることを命じられた。
掟破りな若宮の側近になりたい貴族の息子はたくさんいたのに、長続きしないからと言って放り込まれた雪哉。
若宮に付き従ううち、彼を慕う気持ちと嫌悪する気持ちが同時に湧き、混乱する。
ひたすら美しいものにあふれる前作と違い、今度は厳しさがメイン。
雪哉は、政治に身を置く者の考えを理解できるのか。
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2015年08月22日 読了
八咫烏が支配する世界で、跡継ぎである若宮様の后選びが始まった。
各貴族の家から候補の娘が集まり、若宮の気を引くために様々な趣向を凝らすが、若宮は一向に姿を現さなかった。
美しい娘や、景色、着物など、うっとりするようなファンタジーの世界。
それぞれの立場からめぐらす策略のせいで混乱し、一つの方向から見ていると絶対に気付かない事が若宮の言葉で裏返り、思いもよらぬ結末へ向かう。
続きも気になってきた。
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2015年08月20日 読了
中央はインフルエンザ騒動の反撃に、浪速を陥れようとしている。
その陰謀を察知した彦根新吾は、あらゆる対策を講じるため有精卵を大量に卸してくれるところを探していた。
医療の分野だけでなく、日本を治療しようとした彦根先生の大勝負。
バチスタシリーズでは伏線のような扱いの彦根の活躍が見れた。
そして知らずに若者たちの行く末までも決定させ、道化師で手品師のようなつかみどころのなさが楽しい。
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2015年08月08日 読了
たった一度、偶然見た雪の結晶に魅せられた下総古河藩の下士・小松尚七。
彼は様々な事象への探究心のせいで、「何故なに尚七」という二つ名がついていた。
そんな彼がある日、藩の跡継ぎである土井利位の御学問相手に抜擢される。
この時代、身分や建前がなにより大事だった頃に、外国の新しい考えに触れ、衝撃と共に改めて世の中を見渡す者たち。
解り易く、スピード感もあり、各々の持つ正義に従う生き方をさっぱりと描いていて読みやすい。
雪の描写もきれいで、土井の発行した『雪花図説』が是非見たい。
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2015年08月06日 読了
人死が出た家からでも、幽霊が出る物でも、いわゆる曰く品という物を買い取ってくれる小道具屋の皆塵堂。そこへ、給金はいらないから働かせてくれと言う若者が一人やってきた。
その若者・連助は、婿は早死にするという家に、生まれた時から婿入りが決まっているためか、ことさら幽霊や物の怪といったものを毛嫌いしていた。
また一時的に奉公人を迎え入れた皆塵堂。
代々の奉公人たちも加わって、賑やかな幽霊騒ぎが続く。余り出番のない者ですら個性的で、怖いようで微笑ましい、楽しげな幽霊退治。猫嫌いの太一郎がうらやましい。
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2015年08月03日 読了
仕事の失敗のせいで借金を追い、妻と子供に逃げられ、仕事もなくした松橋吾郎は、ホームレスを集めた低額宿泊所の施設長をしていた。
そこで出会った一人の若者の絵を見てから、吾郎はギャラリーを開くことを決意。
そこそこなんでもこなし、割と前向きだけど結構適当な主人公。
悪いこともするけどお人好しなところがうまく出ていて、吾郎への嫌悪感はどんどん消える。
ご近所トラブルや権力からの妨害などに悩みつつも、思い付きと行動力であちこち丸く収まっていく様子は見ていて楽しかった。元気が出る。
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2015年07月14日 読了
天才的な頭脳が悪魔の所業をなしとげる。その少年・ローレン・ディルーカは、13歳で独房に入れられていた。警察に協力し、本人の知らぬ間に自分に協力させながら、すべては計算されていく。
ローレンが平賀の友人になる前の話や、魔女と畏れられた人の手記に興味を持ち、作家希望の女性と共に『魔女のスープ』を再現させようとしたロベルトと平賀の話など、いくつかの短編集。
一つ一つ細かく検証していく平賀の科学的な説明が興味深い。
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