八月のマルクス


2009年07月05日 読了
 第45回江戸川乱歩賞受賞作。
スキャンダルによって芸能界を引退した元お笑い芸人。
事件後、5年ぶりに訪ねてきた相方がもたらしたすべての過去をひも解く鍵。
 デビュー作にしてこれはいい出来。

 話のテンポもよく、人物も魅力的で個性がある。
脇役だと思っていた人が重い役割を背負っていたり、じっくりと作りこまれた感じがある。
 次も読んでみたい。

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鏡花水月-鏡花あやかし秘帖


2009年06月28日 読了
 イラストを描いている今市子が好きで思わず手に取った1冊。
原作者の本も、もえぎ文庫というのも初めてだったけれど、今市子の持っている妖かしの世界にぴったり。
 
 時は明治の世紀末。天才作家、泉鏡花の担当についてから、あやかしが見えるようになってしまった新人編集者、香月。以来、あやかしを引き寄せ、巻き込まれてしまう。

 どうやらシリーズもののようなので、探してみようかしら。

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恋する力


2009年06月28日 読了
 不倫という立場にとまどい、拒絶しながらも追いつめられ、疲れ果てた末に出したYESのメール。
 社会での自分の立場に納得いかないままの人生に、隠れた秘密を見つけた女性の恋の物語。

 この人の本は大好きだけれど、やっぱり現代物は辛すぎる。主人公の行動にいまいち納得できないまま引きずられて読んでしまう事が多い。
 歴史小説で見られる、締めつけるような、追い立てられるような表現には、日が落ちて暗くなったことに気づかないほど夢中になれる要素があるのに、現代物ではそれがないのが残念。
 
 どの主人公も最後は希望を見出しているけれど、女はそうまでしないと道がひらけないのかと不安になってしまう。

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骨の記憶


2009年05月27日 読了
 人生の終焉を迎えようとしている夫婦。
癌に冒された夫を心の底からいたわり、看取るつもりでいた妻のもとに送られてきた一つの小包。
 そこから物語は始まる。

 ・・・・と思ったらいきなり時代が巻き戻り、しかも主人公が入れ替わった!
 
 小包の送り主が送った一生を子細に語り、死を前にしてやり遂げた事とは。
 貧しい出の少年が勝ち組へと上り詰める過程が細やかに描かれていて、心の動きまでしっかりと見えてくる。その一生が物語のほとんどを占め、ざくざくと読めるので気持ちがいい。
 プロローグの老夫婦につながるまでは見事だが、エピローグは納得がいかない。愛憎は表裏一体とはいえ、一人の人の性格がこうも変わってしまうものかという疑問。まだやることがあると思いつくが、それに辿りつく感情もなおざりで物足りない。彼らの人生はどんなものだったのかが全くわからないために、その愛情と恨みの深さが全く想像できないからだ。
 全体的にはおもしろかったし満足だけど、最後でコケた感が否めないのが残念。

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夜を守る


2009年05月10日 読了
 上野、アメ横で暮らす4人の幼馴染。少年たちがある日出会った老人の話がきっかけで、夜のパトロールを始めた。
街が少しでも良くなるように。。。

 少年たちが出会う人たちや事件、その雰囲気はIWGPと同じ。
作者の文章と世界は、健在。
無理をせず、目の前のことを一生懸命にやる。
そんな少年たちの小説が多い作者らしい作品。

 この人の作品を読み始めたころは、主人公たちと同世代だったはずなのに、今では私のほうが超えてしまっている。
それでも読んだ後は、そのころと同じように満足している。

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百万の手


2009年05月05日 読了
 作者初の現代小説。「しゃばけ」シリーズが面白かったので読んでみました。
なかなかに現実離れしていて、その辺は妖怪モノと通じるところがあるけれど、こんな事件は現実にありそう。少し重いテーマだった。
 きっかけになる登場人物の中途半端な扱いにちょっと困惑した。
 
 それでも全体を通して読みやすい文章で、一息に読み進められた。なかには酷評してる人もいるけど、私は充分満足できました。

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心霊探偵八雲 1


2009年05月02日 読了
 ライトノベル的、1冊2時間くらいで読める。
片目が赤く、その眼のせいで幽霊が見えてしまう主人公の少年。
持ち込まれる様々な事件。その過程で明らかになってくる彼の出生や過去と、そこからの成長。
 前からずっと気にはなっていたけれど、どうも子供っぽいような気がして避けていたシリーズ。思いのほかおもしろかった。
 赤川次郎、石田衣良の次くらいに楽に読める。人物描写や設定、ストーリーに違和感や疑問を残さず、すっきりと読み終えることができるのでお勧めです。

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心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている (角川文庫) [ 神永 学 ]
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火星ダーク・バラード


2009年04月30日 読了
 第4回小松左京賞受賞作品。
私の地元、姫路在住の作家らしい。
火星を舞台にしたSFもので、これほどの量があるにもかかわらず、1日で読めてしまった。最初はこまごまと場面が移り変わり、わかりにくい面もあったが、しだいに取り込まれるような吸いつかれるような感覚に陥りながら時間を忘れていった。主人公は1匹狼的な、主人公にしやすいキャラクターだけど、個性がちょっと薄いかな。でも、この人の本をもう少し読んでみたいと思わせてくれた。

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火星ダーク・バラード [ 上田早夕里 ]
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しゃばけ


2009年04月29日 読了
テレビドラマにもなった、妖怪と大店の若旦那の周りで起こる日常の物語。
 この人の文章はさらっとしてて読みやすい。しかし、脇役や単発登場の人物の書き分けに少し難ありで混乱する場面もあった。
 楽に読めて、軽快に進み、一見情けない主人公がなぜだかカッコイイ。その場の様子が自然と頭に浮かんでくるため不思議な世界も違和感なく受け入れられる。ちょっと読書したいなと思った時に最適なシリーズ。

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黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ


2019年10月20日 読了
小蔵屋の第二駐車場で起こった暴行事件。
元アイドルだった女性が、何者かに襲われたのだ。防犯カメラもなく、犯人の特定に時間がかかっていると、古蔵屋の店員・久美も様子がおかしくなる。

久美にとうとう彼氏ができる。
しかしその矢先の事件で、久美は一人で苦しみを隠そうとしていた。今回は本当に胸が痛い話だった。新しい出会いに行く先の不安、若くても年をとっても、同じようにあるもので、これからの久美がまた頼もしくなっていくような予感もした。

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黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ [ 吉永 南央 ]
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