2012年12月11日 読了
革の修復をしている透子の店の向かい、川を挟んだマンションに、10年前に別れた元婚約者が引っ越してきた。
静かにつましく生きてきた透子の心に、冷たい傷が生まれる。
辛い事件の関係者として、じっと耐えて過ごしてきた10年。
透子の痛みや気持ちは分かりやすいけど、話の流れはわかりにくい。
少しづつ明らかにされていく過去というには、構成が不自然な感じがした。
そのために違和感が大きく、透子に感情移入するより嫌悪感が出た。
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読書と手芸の記録
2012年12月11日 読了
革の修復をしている透子の店の向かい、川を挟んだマンションに、10年前に別れた元婚約者が引っ越してきた。
静かにつましく生きてきた透子の心に、冷たい傷が生まれる。
辛い事件の関係者として、じっと耐えて過ごしてきた10年。
透子の痛みや気持ちは分かりやすいけど、話の流れはわかりにくい。
少しづつ明らかにされていく過去というには、構成が不自然な感じがした。
そのために違和感が大きく、透子に感情移入するより嫌悪感が出た。
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2012年12月04日 読了
東京の会社を辞めた里男は、従兄弟がやっている「海鳴屋」という小さな旅館で雇ってもらえることになり、北陸の小さな町へやってきた。
そこで働く条件として強引に入団させられたのは、カリブの楽器を奏でる集団。
スティール・パン・オーケストラ。
その音色は聞いたことがある。
ドラム缶を叩いて音階を奏でる。澄んだ音は「20世紀最後にして最大のアコースティック楽器発明」と言われているそう。
楽団は素人集団の趣味程度だと聞いていたのに、集まる人々は個性的で陰があり、彼らとかかわるうちに里男はいろんな思いを巡らす。
淡々と、人々の様子とかかわりを描き、変えていく。
単調な分、穏やかだけど飽きる。
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2012年11月15日 読了
幼馴染の汗多と耀司。カンタは人の感情が読めず、耀司は美しく頭がいい。二人とも父親がいない。
二人は自由になるために、お金を持とうと決める。
今までの石田衣良とは違った雰囲気。
二人は本当にどんな時も一緒でお互いを思っているけど、キャラクターがどことなく徹底してない。
耀司は騙されていろんなものを失うが、あきらかに怪しいものに手をだすのは頭のいい彼らしくないし、カンタは時々耀司のような考え方をする。
特徴のない普通の人間が二人いるだけに見える部分があり、もう少し極端に書きわけてほしかった。
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2012年11月13日 読了
新聞記者の梢は、フランスの寄宿学校にいる息子に会いに行こうとパリへ向かう。
ところが、空港で息子には会えず、しかも後見人である友人は死体となっていた。
読み進めるうちに監察医となったシャルルが登場。
懐かしくてうれしくて期待したけど、天才のはずのシャルルはいまいちキレがなて、ごく普通の発想しか出てこない。
梢の言動も共感できない。
ナポレオンに対する姿勢だけはすごいと思うものの、協力者はシャルルじゃないほうが面白いものになった気がする。
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2012年11月11日 読了
突然学校から消えたなつみさんは、新興宗教オモイデ教の信者となっていた。
メグマという術を使い、人を狂い殺すというその力を、僕も使えると言う。
大槻ケンジのおかしな小説。
彼の他の小説より力はないが、独特の気持ち悪さはいたるところに出てくる。
でもそのオドロオドロしさが、まだ少し物足りない。
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2012年11月08日 読了
神奈川県の盲腸と呼ばれる葉崎半島の先に、猫がメインの島がある。通称「猫島」と呼ばれるその島にある、派出所勤務のおまわりさん。仮説の派出所に毎日通ってくるおまわりさんと、そこに住みつくドラ猫DCの、てんてこまいな毎日。
ちょっと頼りないおまわりさんと、まるで上司のような猫のコンビ。だけど長閑な事件もやっかいな住人も、なんだかあまり生彩がない。同じような設定ならもっと面白いものはたくさんある。
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2012年11月04日 読了
大好きなおばぁちゃんの通っていた望桜学園という中高一貫のミッション系の女子校を志望した主人公・夏草。
憧れていた学校に通えることになったのに、ある日おばぁちゃんが倒れ、13歳の頃に戻ってしまった。
自分と同じ年だと言い張るおばぁちゃんと一緒に暮らすうち、おばぁちゃんの言った「罪」が気になりだす。
こんなに長い間秘めていた罪とはなんだったのか。
ゆっくり丁寧に書かれているけど、それほど意味もない。
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2012年11月02日 読了
7人の人たちがむかえるいろんな死。
人はいろんな死に方をする。
それぞれは短い話だけど、強い何かを残す。
怖さだったり哀しみだったり。
ホラーに近いので想像するのがとても恐ろしい。
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2012年10月24日 読了
女子校育ちで20年間彼氏なしの女子大生が、恋のご利益があるという東大寺二月堂での節分の豆まきに行った。
そこで、狐のお面を被った着流し姿のおかしな男に出会う。
その出会いは、一生忘れえない、特別な出会いとなった。
舞台である奈良の、伝統や儀式にまつわる話は詳しくて興味深かったけど、それ以外では目を惹くものはない。
キャラクターも突飛に書かれているため共感もできず、最後はただ怖気づいて逃げる理由をこじつけただけ。
残念。
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2012年10月17日 読了
シーズンを過ぎた山に登る者はいない。
ただ、そこで死んだ夫の慰霊のために、ガイドを雇った親娘だけが向かおうとしていた時、もうふた組の登山目的ではないグループもやって来ていた。
山を舞台に、サバイバルが繰り広げられる。
今までより非現実的で、荒っぽい男たちが戦う。
雪よりも冷たい雨に打たれながら戦い、親娘を守る一人の男は、全て終わった後も、姿も見せずに消える。
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