バチカン奇跡調査官 天使と悪魔のゲーム


2013年03月07日 読了
 ロベルトはその日、図書館へ向かう。毎年、その日には必ず。
話すことができず、神を信じることもできず、「問題のある子」として周囲から疎んじられていたロベルトに、一つの出会いが訪れる。

 平賀とロベルトの出会い、二人の上司であるサウロと、サポート役のローレン、そしてジュリア司祭、それぞれの過去。

 今回は平賀たちの活躍は語られず、短編。

 ロベルトがより愛しく感じられ、ローレンは微笑ましく、サウロの偉大さに納得し、ジュリアの生い立ちが気になってしょうがない。
 そして悪魔の子の名前も。。。

掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南


2013年02月25日 読了
 城下の掘割で若い女の幽霊を見たという普請方の男が、まもなく病で死んだ。さらに、女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる。
ところがそれは、評判のよくない家老を暗殺するために若い侍たちが流したホラ話だった。

 「あやかし」というから、どんなものが出てくるかと思っていたら、幽霊話だった。
最後にはすべて繋がる幽霊話が、短編として語られる。
浪人の平松左門という男が、幽霊の正体を探りながらアチコチ歩き回るうち、見えてくる政治取引。
 始めの頃はどうも盛り上がらないただのウワサ話が、最後でいきなり引き締まる。
左門に興味が出てきた。

三匹のおっさん ふたたび


2013年02月19日 読了
 定年退職したおっさんたち3匹の、夜回り隊。
町内の小さなもめごとを、納得いかないとかしっくりこないとか見過ごせないとかの理由で解決に乗り出す。

 すごく真っ当で、すごく正論。
まっすぐすぎて目をそらしたくなる。
そのせいで、辛いことや理不尽な事が起こっても、どこか他人事でうわべだけに見えてしまう。

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スリジエセンター1991


2013年02月17日 読了
 破天荒な医師、天城を迎えて1年。仕事はたった一つの公開手術だけ。
天城はただ、スリジエ・ハートセンターの設立を望んでいた。
「桜宮に、桜並木を作る」
 それに関係して、東城大学医学部では様々な政治的取引と裏工作が行われていた。

 世良と天城のコンビがここで終わる。
世良と花房の関係や、速水の伝説が始まる瞬間を含んでいるので、バチスタシリーズのいろんな場面がよみがえる。
 年表がほしい!

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北斗 ある殺人者の回心


2013年02月15日 読了
 両親に虐待され、抱きしめられることもないまま育った北斗が、初めて人を信じた。
しかし、その人は死んでしまった。里親となってくれていたその人が詐欺にあっていたと知り、北斗は復習を決意する。
 里親の母が死んだ時、北斗の心も死んだ。

 珍しい、石田衣良の長編。
ブルータワーが面白かったので期待した。虐待されて成長し、里親のところに行くまでの話が想像以上に辛かったが、長編のわりにずっと浅いところをもぐっているような感じで、うんざりするところも多かった。
 でも北斗の思いは沁みるようにずっと残る。

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桜舞う


2013年02月11日 読了
 目を瞑ると、闇の中に白く影がうかぶ。「おいちちゃん、助けて・・・」
江戸深川の菖蒲長屋で、医者である父・松庵の手伝いをしているおいち。
ある日、おいちの幼馴染のおふねが、大量の血を流し、死んだ。
 友の死を不審に思うおいちの前に現れる、1人の青年。

 おいちの不思議な力は、勘といってもいいくらい小さなものだけど、それは必ず事実に導く。女の身で医者になりたいと思うおいちの話の、第2段だったようだ。
簡単な文で読みやすく、分かりやすい。

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千里伝 乾坤の児


2013年02月11日 読了
 再構築された世界では、バソンの妻のピキは惨殺され、呆然とするバソンは連れ去られる。滅亡したはずの隋の軍隊にいるのは、絶海だった。
 千里たちは、ゆがめられた世界を戻すため、五獄図を再生する道を選ぶ。

 戦うばかりの千里に、少しずつ知恵を授ける周りの者たち。
ゆがめられた世界ではあるけど、今そこには人が住み、営みを続けている。それを覆すということは、今生きている者たちはどうなる?
葛藤と戦い、結論を出せずにいる千里に周りは。。

 千里伝完結編。何かを選びとるのは、誰にとっても辛い。

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真夜中のフーガ


2013年02月04日 読了
 シリーズ第3段。自分の名前の人物が死んだ。
新聞で見つけたかつて自分だったその名前の人物に、少しの興味も持たない奴はいないはず。
気まぐれにそいつが死んだ場所をふらついていたために、勉は出会いたくもない人と出会うことになる。
 
 前作でメンバーが死に解散したはずだったチームが、新しいメンバーを招き入れていて、今度はつまらない問題を投げつけられる。
関わるうちに関係者が増え、問題が増え、甘えた若者に振り回される羽目になる勉。
 若者たちの、考えのないその場限りの思いつきな行動に腹を立てていたはずの勉が、最後はやけ気味に同じような事をしてしまうのは、もうすべて断ち切りたかったからか。

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維新銃姫伝 – 会津の桜 京都の紅葉


2013年02月01日 読了
 『幕末銃姫伝』に続く山本八重の半生。
会津開城から、八重の長い戦いが終わるまで。
 作中何度も出てくる「報復」という言葉が、八重のすべての思いを包んでいる。
何度もすれ違いながらどうしても届かない恋も、切なさを増長させた。

 兄の覚馬があまりにも優秀すぎるような気もしたが、それはそれで史実なのだろう。
参考資料の多さに驚く。

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竜が最後に帰る場所


2013年01月24日 読了
 渦巻く風や、冬にだけ行ける明日、砕ける者たちや本能。
一つのアイテムから次々に想像を膨らませて、現実ではないことをへどんどん歩いて行くような、5つの物語。

 想像だけで、根拠や理屈は全く無視した話が続き、他人の夢を覗いているよう。
でもどれも少し闇がある。
「夜行の冬」が一番面白かった。

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