任侠病院


2012年11月29日 読了
 下町にある小さな阿岐本組。地域とともに長く暮らしてきたのだが、今の組長は少し変りもので。。。
今度は病院の立て直しに乗り出した。
 一見して堅気ではない者たちが病院をうろつく姿に、眉をひそめる人たち。
しかし組長は気にする風もなく、にこにこと下の者たちに指令を出す。

 ヤクザ達がつぶれそうな病院に顔を出したと言ったら恐ろしいことを考えるものだが、彼らは逆に笑顔を与えていく。
 冷や冷やするようなヤクザものではないので、気楽に読めて最後はとてもすっきりする。

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与太話浮気横槍


2012年11月27日 読了
 長屋に暮らす者たちの起こす、ちょっとだけやっかいな問題。
長屋の問題はみんなで解決!そううそぶく一番のいばりんぼの女房がみんなを集め、あれやこれやと策を練る。

 最初は面白い小話だと思ったけど、だんだん失速。
最後はなんだかおとぎ話のような夢物語のようなもので終わる。

 キャラはどっしりと作りこんであるのに話がうわべだけのようでもったいない。

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ほら吹き茂平


2012年11月25日 読了
 隠居の身である茂平は、日がな一日することもなく、湯屋へいったり散歩をしたりと、まだまだ達者な体で暇を持て余している。
 そして茂平は、ちょっとしたお愛想のつもりで軽い「ほら」をふく。

 穏やかな江戸の暮らしを楽しげに描く。
ほら吹きでも、せっかちでも、困った癖を明るく見つめて嫌味がないから、頼もしい個性に思えてくる。
いくつかの短編で、ちょっと変わった「癖」をもつ尼僧の話は心を温かくした。

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キシャツー


2012年11月23日 読了
 北海道の田舎町に、一両編成の列車がゆっくり走る。
高校2年の仲良し3人組は、そんな海っぱたの砂浜に、ある日赤いテントが建っているのに気づいた。
そのテントの主は光太郎といい、人を探してやってきたと言う。
 3人は、同じ学校の仲良しとともに、そのテントの主である光太郎の旅の目的を果たそうとする。

 悲しい過去も今ある辛さや苦労も、優しく語れば少しだけ軽くなるような気がする。
そんな作者の思いが書かれているような物語。

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伏 贋作・里見八犬伝


2012年11月22日 読了
 里見八犬伝・・・・の贋作である。
猟師の娘が兄を頼って江戸にでてきたら、犬人間がさらし首になっているところに出くわす。
娘は兄とともに、犬と人との交わりモノである「伏」を狩る。なぜなら猟師だから。

 元の物語を良く知らないためか、これはこれでおもしろかった。
この人の本では、初めて面白いと思えたものである。他は全く趣味に合わないけれど。
江戸のお話なのに、現代ふうな言葉をつなぎ、分かりやすい。
原作好きには許せないところもあるかもしれないけど、全く別の話として楽しめる。

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転迷―隠蔽捜査4


2012年11月19日 読了
 大森署署長・竜崎伸也の眠れない日々。
変死した外務官僚、ひき逃げ、放火。同時期に起こった事件の様子をうかがううちに、不思議な共通点に気付く竜崎。
 作者は警察小説をたくさん出しているため、区別がつかなくなってきた。

 頭が固くて関わりにくい人物かと思っていた竜崎が、その体裁やメンツを気にしないところが逆に功を奏す。
とてもおもしろくて頼もしい人物。

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囲碁小町 嫁入り七番勝負


2012年11月10日 読了
 七番勝負に負けたら嫁に来てもらう。
そんな無茶な申し出をよく知らずに承諾してしまったおりつが、いろんな出会いと共に石をうつ。

 町娘が囲碁を始め、町の腕自慢を打ち負かしてきたためについたあだ名が「囲碁小町」。
そのおりつの勝負は、囲碁を知らなくてもついていけるように書かれている。勝負ごとに出会う自分より強い者たちがとても魅力的で、最後の、哀しみのなかでの囲碁は印象的。
婿になるかもしれなかった人との今後の関係も気になるところ。

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つむじダブル


2012年11月04日 読了
 二人の作家が兄妹それぞれの視点で描く、一つの家族。
仲が良くて、大好きな家族に、ある日1本の電話が入る。
お母さんは絶対知ってる人のはずなのに、「知らない人」だと言う。
 妹のまどかがチクリと胸に感じた違和感が、自分の知らないお母さんの過去と繋がる。

 二人の作家の合作。
どちらも優しく優しく話を紡ぐ作家さんで、交互に書かれているはずなのに少しも違和感なく読み進められる。
最後に兄のユイチが語る推理は安易で、ちょっと違うかなぁと思ったりもしたけど、高校生の男の子の考えとしては正解なのかもしれない。
 本当はもうちょっと隠れていそう。

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禁断のパンダ


2012年10月23日 読了
 第6回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
夢だった店を持ち、結婚もして、もうすぐ子供も生まれるという柴山幸太。料理目当てで妻の友人の結婚式に出席したのだが。

 料理に関しての描写が面白く、すぐにでもフレンチが食べたくなる。でもミステリーとしてはいまいち味がない。
 いくつかの視点で描かれ、やがてそれらがどう繋がるのかと推理させるのはいいのだけど、それぞれが散らかりすぎて気が散る。

 最後はいかにもミステリー。

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玉村警部補の災難


2012年10月12日 読了
 桜宮市警察署の玉村警部補と加納警視正のお話。
彼らが関わったいくつかの事件の調査ファイルを、おなじみ田口先生と共に時にため息をつきながら見返していく。

 加納警視正の豪快さが頼もしい。
終盤に田口先生がひそかに思う。
『加納警視正の行くところ、荒野でも瓦礫の山でも、そこに道ができてしまうのではないか』
 運に擦り寄られていると言っていい加納警視正の勘は、まだまだ冴えていそう。

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