さよならの夜食カフェ-マカン・マラン おしまい


2019年06月23日 読了
 今回シャールの夜食カフェ客は、亡き母の行きたかった学校へ通うJKの希美。
近頃仲良しグループとの付き合いがギクシャクしている。そして迷い込んだ「マカン・マラン」で、強迫観念のようになっていた母の面影から脱出する力を得る。

 回を重ねるほど客の心が疲弊していて、シャールは優しく料理を出す。
前作で料理人の省吾と共に世界一のレストランで修行した庸介もまた、「マカン・マラン」に縁を持つ。こうやって色んな繋がりが生まれている様子は、世界が広がる感じがして楽しい。どす黒い負の感情をも隠さずにいられると、浄化も早いのかもしれない。4部作のシリーズは終わったけど、いつか、シャールを見守り、忘れられない言葉や料理を出した人が出てくるといいなぁ。

きまぐれな夜食カフェ – マカン・マラン みたび


2019年06月21日 読了
 ドラァグ・クイーンのシャールが夜だけ気まぐれに開くカフェ「マカン・マラン」。
縁があれば開いている時に行ける店。
そこへ今回やって来る人は、味がわからなくなった料理人や、ネットで批判ばかりしてしまうOL、そしてシャールの後輩だったけど、不遇な結婚をしてしまった女性。

 シャールの過去が垣間見えた今回。客としてやってくる人たちも今回は今までより深刻な感じがした。じんわり温まる話ばかり。私がこんなに穏やかに人を見れるようになるには、どれだけかかるだろう。

お茶壺道中


2019年06月16日 読了
 宇治から江戸へと、最高のお茶を将軍様へと運ぶ行列。
それを見るのが何よりの楽しみだった仁吉は、日本橋の葉茶屋・森山園の奉公人となる。
 大旦那の太兵衛に目をかけられていたが、そのせいで孫娘のお徳からは厳しい目を向けられていた。そんな仁吉が、旗本の阿部正外の屋敷を訪ねることになり、その出会いが彼の人生を大きく動かす。

 お茶が何よりも好きな仁吉の素直な熱意が、成長とともに視野を広げ、森山屋の危機を幾度も救う。お家騒動や逆らえない時世の動きに立ち向かう姿がたくましい。最後にはホッとできる。

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逃げ出せなかった君へ


2019年06月13日 読了
 ブラック企業に入社した三人の同期、大友、夏野、村沢は、心身ともに疲れ切り、それでも逃げる術を見つけられなかった。
そんな中、ネット中継で夏野が自殺する。

 読み進めるのが辛いくらいの内容。
夏野の自殺で一転、3人が人生で一番うまいビールを飲んだ居酒屋へ視点が移り、そこからまた次へと、夏野から広がる人間模様がつながっていく。
一つ一つが心をキュッと締め付けるような出来事。
切ない内容ばかりだけど、一番うまいビール、が心を満たすアイテムとして印象的な余韻を残していた。
 ドラマ原作大賞受賞作「被取締役新入社員」の作者。

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夏を取り戻す


2019年06月03日 読了
 夏休みだというのに、ほとんど毎日塾通いになった、小学4年生の仲良し5人組。
彼らが突然、一人ずつ行方不明になっては4日後に戻ってくるという事件が続いた。
 都内の古びたビルにある月刊ウラガワの編集者である猿渡は、その事件を調べる佐々木というフリーの記者と共に連続失踪事件を調べることになった。

 子供たちが考えた他愛のないトリックと悪戯が、大人たちに挑戦状を送ったというだけの事だったはずが、その夏の大事件にも関連する大きな謎を解く羽目になる。最後はいくつもの驚きが重なり、時間を忘れてあっという間に読めてしまった。

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図書館司書と不死の猫


2019年05月30日 読了
 愛妻を亡くし、ケンブリッジの図書館を定年退職したばかりのわたしのところに、ある日妙なメールが送られてきた。
いくつかのファイルが含まれていたメールを開き、好奇心を持ってしまったために、わたしは奇妙な出来事に巻き込まれる。
 それは九つの命を持った、しゃべる猫の話。

 ミステリーでホラー。念じるだけで相手を殺せる力を持った猫なんて、想像しただけで怖いけど、じっと見つめてくる猫の不気味さがよくわかる。
構成がばらばらな気がするのもわざとのようで、それが一層予測のつかない未来を感じさせる。
時代と人物が入り乱れるので少し混乱した。

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黒龍荘の惨劇


2019年04月04日 読了
 山縣有朋の別邸・黒龍荘で、金庫番である漆原安之丞が謎の死をとげた。
調査依頼を受けた探偵・月輪と杉山潤之助が邸に住み込んで調査をするが、館の住人がわらべ歌になぞらえて次々と殺されていく。
月輪は懸命に捜査をするが、犯人の影さえつかめない。

 このシリーズを一つ読んだと思うが、全く記憶にない。
探偵の月輪は自信家で、何があってもめげず、次々と手をかgな恵だし打って出る様子は飽きさせない。
そして最後の思いもよらない結末。まさに惨劇というにふさわしい。
館の住人の誰もが、どこかおおきな恐怖を抱え、何かにおびえているといった印象からここにつながったのは意外だった。
ただ、主人公の杉山潤之助の印象が薄すぎる。

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キリングクラブ


2019年03月21日 読了
 ジムで知り合った千沙に誘われ、「キリングクラブ」という店で給仕をすることになった藍子。
そこは、人口の1%は存在すると言われるサイコパスの中でも特に成功したサイコパス達が集まるクラブ。その会員が、連続して殺害されるという事件が起こる。

 何事にもさして感情を揺さぶられることがなさそうな藍子。
連続する殺人の犯人を追う立場になっても淡々としている藍子の本性は、最後になるまで明かされない。すっかり騙された。
殺人にすら興味を示さないクラブ会員の様子に、知恵ものの藍子すら翻弄されていると知ってさらにうすら寒い思いがした。
後味の悪さはあるが、イヤミスとは少し違って嫌悪感はない。

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草々不一


2019年03月04日 読了
 江戸。兄がいたために奉公に出、商人としての面白みを知り始めた頃になって跡継ぎとして連れ戻された真吾。武士としてお役を頂くために日々努力してきたが、、。分不相応な格の家に婿入りすると、妻から3つの約束をさせられる。
 など、江戸で生きる人たちの生き様をいくつか。

 武士は文字など読めなくともいいと意地を張っていた男が、妻が残した文読みたさに子供たちに交じって手習いに通う。
最後がほっこりする話がいくつかあり、それを、合間の他愛もない物語が引き立てる。
 意地を張ってもそれを大らかに受け止める人がいるのは、傍から見ても微笑ましい。時間をかけてじっくり読むのに向いている。

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雨上がり月霞む夜


2019年02月15日 読了
 紙問屋・嶋屋を営んでいた秋成は、火事で家を失う。
家業を失った秋成は、幼なじみの雨月が結ぶ庵のもとに居候して医者を目指すことにしたのだが、その庵の主の雨月は極度の人見知りで、秋成の他には会おうとしない。しかしそんな雨月のところに、ウサギの妖がやってきた。

 雨月と秋成は、子兎に姿を変えた妖の「遊戯」といることで、不思議に出会う。
それらはただ悲しい終わりしか招かなかったり、また救ったりもするが、どれも総じて暖かい終わりとなる。
『雨月物語』を知らなかった。手に取ってみたくなった。

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