教場


2016年04月20日 読了
 警察学校初任科の第九十八期短期過程の生徒には、厳しい規律と訓練で心を壊す者が出てきていた。
 厳しいだけでいじめとしか受け取れない教官、同期を執拗に追い詰める者など。
そんな中、白髪まじりのある教官は、一人冷静に生徒たちを見つめていた。

 柳広司のスパイシリーズのようなイメージで読み始めた。
途中とても不快な気持ちになるところもあり、そこが全く違うところだが、人の暗い内面を誇張しているという点では効果のある理不尽さだった。

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ピロウボーイとうずくまる女のいる風景


2016年04月19日 読了
 どうしようもない母親から逃げて貧困のさなかにいた絢野クチルは、顔に傷があるキムラに拾われてピロウボーイとなった。いわゆる枕少年。
さらにクチルには、いきなり押しかけてきて住み着いた同級生の知紅がいた。

 キムラからの仕事で出会う女たちを癒す日々。
そして知紅とは体の関係のないままなんとなくくっついて寝ていた。

 石田衣良の『娼年』『逝年』にも似た雰囲気だが、政治の哲学的な思想が混じり、拳銃の非日常も含まれる、ごった煮的なものになった。
知紅との関係には一段落したので、結末としては日常に戻れるいい結果となった。

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寄居虫女


2016年04月15日 読了
 その女を入れてはいけない。
食いつき、吸い尽くされ、狂わせ、時には死に向かわせる。
その女の被害にあった者は数知れず。
いつの間にか家に住み着いている。

 ヤドカリというより寄生虫。
怖い怖いと思いながら読む。

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臥龍: 横浜みなとみらい署暴対係


2016年04月14日 読了
 偶然出くわした半グレたちのケンカを仲裁したことから、ハマの用心棒と渾名されるみなとみらい署暴対係係長諸橋夏男と相棒の城島勇一は、関西ヤクザノ組長が殺される事件にかかわることになる。

 読み終えたらすぐさま忘れてしまう程度の量産刑事物語。
ただ著作が多いだけの、どれをとっても同じで区別できず、読んだことも忘れるような部類の作家になってしまった。
「蓬莱」や「海に消えた神々」、「殺人ライセンス」の頃の様なものをまた書いてほしい。

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炎のタペストリー


2016年04月13日 読了
 隣国と長い戦争を続けるハルラント聖王国の西の端に住むエヤアルは、幼い頃に魔法を暴走させて炎の鳥に魔法を奪われていた。
そして<空っぽの者>となったエヤアルは徴兵吏によって砦に連れてこられ、洗濯女や食糧庫の管理、照明係などをして働きながら新しい力を目覚めさせていく。

 類まれなる記憶力のために、「話す祐筆」として戦に連れて行かされたエヤアル。
そこで見聞きしたことがエヤアルの考えを大きく変え、一つの決断をする。

 ファンタジー小説というより、童話。
自分の思いとは違う生き方を強いられて抵抗し続けるエヤアルが生き生きいていて、ただ前向きな明るい主人公ではないところに好感が持てる。
でも最後の決断は指示書めいた道徳観いっぱいの童話なところが残念。

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ポンコツ探偵の名推理


2016年04月08日 読了
 大物政治家の脱税疑惑を追ったせいでクビになった刑事の八房文次郎。
家も妻もなくし、金も仕事もなくなり、途方に暮れる八房は、後輩の紹介で探偵組織の一員となる。
 うっかり借金を作ってしまったために探偵の助手になった八房が、すっとんきょうで最低ランクの探偵・弾正勘八と組み、依頼をこなしていくが。

 警察としての能力はあるのにどうも運が悪い八房は、『田舎の刑事』シリーズの主人公と通じるところがある。
そのためどこか滑稽で、深刻な事件なのに笑いがにじむ。
楽しめた。

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みどり色の星


2016年04月02日 読了
 19歳の遠山エリカは、ある夜シャンプーを買いに出た帰りに出会った近所の少年と共に、少年のクラスメイトの家に連絡網を伝えに行った。ただの気まぐれで付き合っただけだった。
 ところが訪ねた研究所にたまたま居合わせた6人で、時空を超える旅に出てしまう。
たどり着いたのは太陽が緑に輝く星。

 幻の日々をすごす6人。個人個人、幻として終わらせる人もあり、異星人との生活を望む者もあり。夢なら何でもありだけど、突拍子なく突き進むのでついていけなかった。

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2016年04月01日 読了
 身勝手な夫、その夫に殺されたも同然な両親。そして、正月を一緒に過ごした娘は数日後に自殺してしまった。
一人になった私・晶子は、娘の死の真相が知りたいと探偵を雇う。

 身元を隠し、娘と交際していたというRのバイト先へ晶子もバイトとしてもぐりこむ。
そしてRの身辺を探り、また人柄を知るにつれ、法ではさばいてくれないRの素行に憤りを募らせる。
 正攻法ではどうすることもできない悪を前に、晶子は追い詰められていく。
こうなるしかなかったという結末で、何とも言えない後味。でも不愉快ではない。

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誰にも探せない


2016年03月29日 読了
 疎遠になっていた幼馴染が突然帰省してきて、あの頃はたせなかった冒険の続きをやろうと誘う。

 今ではなくなってしまった幻の村には埋蔵金があるという噂を信じて、少年の晶良と伯斗は山を駆け回っていた。しかしあるときから伯斗がよそよそしくなり、それ以来交流が途絶えていたのだが、突然の再会で強引な誘いをする伯斗を断り切れずに巻き込まれる大金と命を賭けた冒険。

 幻の村を探す冒険は楽しそうだが、リアリティのないヤクザ者がしらけさせる。

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誰にも探せない [ 大崎梢 ]
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インフェルノ(下)


2016年03月27日 読了
 増えすぎる人類の未来を憂慮し、対策を講じようとしたゾブリストの野望が明らかになった。シンスキーと合流したラングドンは、暗号を解きその陰謀を阻止しようと駆け回る。

 上巻ではそれぞれの立場と思惑がまだ明かされず、誰が信用できるのかがわからないまま誰からも逃げていたラングドンだが、ようやく目的がはっきりしてくる。
極端な思想は危険であるが画期的な解決策でもあり、ゾブリストがただの悪人ではないとわかるが、天才ゆえの飛び越えた発送は支持されない。
解き放たれたウィルスの効果がどうなっていくのか楽しみである。

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