ノッキンオン・ロックドドア2


 不可能担当の御殿場倒理と、不可解担当の片無氷雨。
二人の探偵が得意分野をうまく集めて探偵をしている二人。
今度の依頼は、大きな穴の開いた密室殺人だった。

 一風変わった依頼人よりもさらに変わった二人の掛け合いが楽しい。
大学のゼミで一緒だった4人組の残りは、一人は刑事に、一人は軽犯罪の知恵を売っているという点も風変り。
この関係が始まった事件を最後に解決し、関係に変化が起こるかと思いきや、4人は何もなかったかのようにあいさつを交わす。
居心地の良いままを望む4人は、読んでいても居心地がいい。

シャーロック・ホームズたちの新冒険


 トキワ荘で手塚治虫が消えた。住人たちは皆漫画家で、それぞれに締め切りを抱えていたが、力を合わせて手塚治虫の「次回作」を書きあげる。
「黒後家蜘蛛の会」に持ち込まれたアイザック・アシモフが書いたといわれる手紙の謎。
誰もが知る人物たちの活躍を描く短編集。

 それぞれに「こんなことがあったら面白い」といった要素が詰め込まれている。
短編なのでちょっとのぞき見する気分で読めるので気軽で、最後に作者によるちょっとしたコメントがついているため、なぜ彼らに着目したのがが書いてある。
個人的にはアシモフのロボット話が楽しかった。
タイトルのホームズに関係するのは1作だけなので、その点でいえばガッカリ。

透かし模様のストール


使用糸:ハマナカ アンゴラミーテ(9)
編み図:おでかけニット No.5 から
    透かし模様のストール 245 g 7号針

血霧(下)


 刑務所にいたキャスリーンが急死したという知らせが入る。
駆け付けたケイは、熱湯に触れる機会がないはずの収監者が火傷を負っていることに不審を持つ。
さらにジェイミーまでが死体で発見され、ケイは数時間前までジェイミーと一緒にいたことで恐怖に慄き、巻き込まれた事件に真剣に向き合うことになる。

 キャスリーンの死体に見られた不審な火傷や、これまでの被害者が死ぬ前に訴えていた症状の類似点から、ケイは一つの可能性にたどり着く。
そしてまた恐ろしい事実にも気づくが、サイコパスと思われる人物の血のつながりに恐怖を感じる。
ケイが自宅でドーンに襲われた時と同じく、またルーシーに助けられた。
決着がついた結末は明るい。

血霧(上)


 殺人鬼ドーン・キンケイドの母で、女子刑務所にいるキャスリーン・ローラーからの依頼で接見することになったケイ。
ところが、レンタルした車が違っていたり、予約したホテルも誰かにキャンセルされていたりと不審なことが起こる。
それはルーシーとジェイミーが仕組んだことだった。

 仕組まれたことに腹を立てながらも放っておけずに付き合うケイ。
しかし、身近な人に様々なことを黙っていられたことにばかり気を悪くしている。
愚痴が多いのは以前からだが、誰もかれもを責めるのにはうんざりした。
9年前の事件に新事実が出てきたことに興味を惹かれて付き合うことにしたケイだが、あまり主体的に動いてないのでだらけた感じ。

わかれ縁


 夫婦となって5年。働かず、借金を作っては飲み、幾人もの女を作ってなお離縁に応じない夫に失望し、家を飛び出した絵乃。あてどなく歩いていると、離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」の手代に拾われる。
そこで絵乃は、離縁を依頼した。しかし手間賃を払えない絵乃に「狸穴屋」の主人・桐は、手代として働くことを進める。

 身投げをもくろんでいた絵乃に、新しい道を示してくれた「狸穴屋」。
そこで様々な夫婦のありようと別れ様を見て、絵乃は自分の視野の狭さを知り、夫との離縁を決心する。
桐の度胸と気持ちのいい啖呵に、自分も世界が広がる気がした。
最後に見せた絵乃の裁きには、空恐ろしい執念も感じつつ、溜飲も下がる思いで複雑な後味を残す。

高校事変 VI


 修学旅行中、同じ班の5人からのいじめに耐え切れなくなった結衣は、仕返しをした後でこっそり宿を抜け出した。
来る途中でバスから見た、ヤクザのカモとなっていた貧困家庭の集まる地域へと足を向け、そこで銃の密売と少女売春の斡旋を目にする。

 今度は少女が被害にあっている場面がたくさん出てくる。しかも相手は軍人。
そしてどうやら捕まっていた凛香と再会はしたものの、すぐさま襲い掛かってくるほどの敵意を向けられる。
それでも息はぴったりで、隠蔽されようとしていた犯罪を明るみに出すことに成功する。
それにしても、一つ一つの行動がすべて後のつじつま合わせへの工作となっていて、どんなことが起こっても回収できるような小細工をしているのは恐ろしいとも感じられる。
そしてまた一人、結衣の兄弟が登場しそう。

高校事変 V


 武蔵小杉高校事変で優莉結衣と交流を持った濱林澪は、ショックのため不登校になっていた。
そこで、事件に遭遇した生徒を対象にした救済措置としての転校で、ある農業高校に見学に行く。
教師の言動に違和感を感じた澪は、とっさに結衣に助けを求める。
その学校では、生徒たちの知らないところで巨大なプラントが作られており、結衣にとっては忘れられない記憶と結びつく化学兵器が作られていた。

 学校へ招かれてそのまま恐慌に巻き込まれるのはもう何度目になるか。
結衣の容赦ない仕打ちは想像すると恐ろしいが、それは結衣に敵意を向けるものだけに限り、結衣の心に少しでも近づいてこようとした人は見捨てない。そのため、次に繰り出す技はなんだろうと期待すらしてしまう。
田代親子だけでなく、新しく登場した理系の高校教師が次の脅威か。

ジグザグヨークプルオーバー


使用糸:リッチモア バカラエポック<ファイン>(24)
編み図:「じっくり編んで永く愛せるニットのふだん着」 から
     ジグザグヨークプルオーバー 220 g 9号針

前回

使用糸:ハマナカ アルパカモヘアフィーヌ グラデーション(108)

あしたの華姫


 江戸、両国の見世物小屋では、「真実を語る」と評判の華姫がいる。
それは木偶人形で、使い手の月草が声色を変えてしゃべっているのだが、近くで見ても人形とは思えないほど人間にそっくり。
そして華姫は、両国一帯を仕切る地回りの親分の娘・お夏からも贔屓をいただいていた。
そんな時、親分の山越がお夏と共に風邪で寝付いてしまう。すると巷は、跡継ぎが誰になるかでもめ始めた。

 ずいぶん久しぶりの華姫。もう設定すら忘れていたのに、全く気にならないほどすんなりと入り込める。
軽くて読みやすく、明るい内容で、華姫の華やかさもあって、どんな事件が起こってもどこか微笑ましい。
周りのもめ事を収めるといった内容は作者のほかのシリーズと同様だが、こちらは常に明るい気分でいられる。