月下美人を待つ庭で


 小柄で猫目、大きな黒い上着のせいで黒猫を想像させる容貌の持ち主。
30過ぎにもかかわらず定職につかず、異様な好奇心であらゆることに首を突っ込むという変人の猫丸先輩。
電光看板の底に貼り付けられた不規則なアルファベットの文字列や、1時間だけ消えた愛犬の謎、毎夜不法侵入される家など、さらさらとしゃべりながらいつの間にか納得させられている。
早口なのに聞きやすいというその口調で、謎と警戒心を解いていく短編集。

 おっさんなのに小柄で、猫のようにするりと現れる。
話出すと長くて古風な表現も多いが、なぜか気になって最後まで聞いてしまうという不思議な猫丸先輩。
分かってみると何でもないことを大事件のようにして思わず信じさせてしまったり、あっさりと真実を話してしまったり、いろんな面を見せて楽しいが、長い話がちょっとたいくつ。
表紙が印象的で、その話もほっこりする終わり方なので憎めない。

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