2015年12月16日 読了
ある日梶原教授は、自分が狂っていることに気付いた。
そしてそれを知る友人を殺し、死に場所を探して旅に出る。
たどり着いた北の診療所には、自分を異形の者だと思い込む人たちが暮らしていた。
様々な時代、場所で登場する美しい女性の正体が明かされるにつれ、サナトリウムに集う人々の正体もわかる。
近頃多い、わざとしつこく修飾語を並べて複雑に見せる、内容のないライトノベルと違い、哲学的な美しさを感じる文章。はじめは読みづらく感じるが、そのうち取りつかれたように目が離せなくなってしまう。
物語自体は目新しいものではないけど、その文章が魅せる雰囲気は後を引く。
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