ダブル・ミステリ (月琴亭の殺人/ノンシリアル・キラー)


 不思議な招待状で〈日本のモン・サン・ミッシェル〉と称えられる天眼峡へ呼び出された探偵の森江春策。
ところが、会場となる月琴亭ホテルでは、同じように様々な理由で呼び出された者たちが5人。
皆、それぞれに興味をそそられる内容が書かれた嘘の招待状だった。
そして不気味な陸の孤島と化したそのホテルで、拉致されてきたと思われる男が一人、拘束されていた。

 両側から、二つの物語が進行し、真ん中で一つになる。
面白い作りだが、事件自体はありふれたもの。
しかし登場人物が交差し、二つの事件を行き来するため、人間関係がややこしい。
ミステリとして近年ではアンフェアと言われる手段を使っていたことも、面白いが混乱される要因だったため、何度も読み返すことになる。
最後に人物相関図が欲しいと思ってしまった。