ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下)


 ハリエット失踪事件に関する膨大な資料を調べるミカエル。
一人では限界があると思いヘンリックの弁護士に相談すると、背中にドラゴンのタトゥーを入れた女性調査員・リスベットを紹介される。
リスベットの個性に驚きながらも、二人は気が合い、深い闇をもつヴァンゲル一族の謎へと分け入っていく。

 ミカエルが見つけたハリエットのメモと失踪当日の写真に写ったハリエットの姿から、ミカエルは恐ろしい真実をつかむ。
真相を見つけたとたんにミカエルは命を狙われ、リスベットと共に生還するまでを一気に読み進んだ。
大げさなほどの危機だが、途中では止まれないほど息をつめた危機だった。
そのせいか、生還後はもう余韻だと感じていたが、ヘンリックの依頼を受けるきっかけとなった事件がまだ終わっていなかった事をやっと思い出す。
それは後日談のように淡々と語られていたためにちょうどいい余韻のまま進み、やがてすべて解決した頃にはミカエルに起こった衝撃も薄れてきて落ち着いて読み終えることができた。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上)


 月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の暴露生地を書いたせいで名誉棄損で訴えられ、有罪判決を受けた。
そして『ミレニアム』の発行責任者から身を引くことになったミカエルに、とある企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルから1年の契約として仕事を持ち掛けられる。それは、表向きはヘンリックの自叙伝の執筆だが、本当はおよそ40年前に失踪した兄の孫娘ハリエットを殺した犯人を見つけてほしいというものだった。

 人生の危機にタイミングよくあらわれる人物と依頼。
転機にすべく依頼を受けるミカエルだが、サブタイトルにもなっているドラゴン・タトゥーの女はいつミカエルにとっての重要人物になるのかとうずうずしながら読んだ。
かなり物語が進まないと絡んでこない彼女は、姿も言動も人目を惹く奇異な人物の割に控えめな登場で、彼女・リスベットが次に何をするのかが気になりつつも、ハリエット事件の捜査も充分に興味を惹かれる。