断罪のネバーモア


 不祥事が続き、ついに一部民営化を果たした警察。
茨城県つくば警察署の刑事課へIT企業から転職した新米刑事の藪内唯歩は、警部補の仲城流次のパートナーとなり、殺人事件の捜査を始める。
しかし、好き勝手に動き回る仲城や、自分にだけ隠し事をされている様子に疲れ、唯歩はしだいに自信をなくし、気を滅入らせていく。
それでも踏ん張り、いくつかの事件を解決していく唯歩だが、7年前の事件との関連や、これまでの事件でのかすかな違和感から、真実に気付き始める。

 パラレルワールドのように、少し違うシステムを持った今、が描かれる。
ブラック企業にいた頃のトラウマからキーボードを打てなくなっていたり、皆の隠し事に傷ついたする、リアルに思い描ける様子と、実際とはちょっと違う事件やシステムの架空の設定とが入り混じり、熱でも出たかのような現実感のなさが続く。
そして一層ややこしい事態になって、混乱させたまま終わり、狐狸妖怪に化かされたかのよう。
『ジェリーフィッシュは凍らない』のシリーズより混沌としていて、すっきりしなかった。