首取物語


 ひたすら歩いた末に見つけた男が持っている握り飯に、急激に空腹を覚える少年。
そして握り飯を奪って逃げることを繰り返していることに気づいた時、どうやら侍だったと思われる男の首と出会う。
どうすればこの世界から抜け出すことができるのか。
少年と侍は、協力することにする。
 二人が巡る不思議な国々で出会う人々や出来事が、この二人の縁を解き明かしていく。

 ただ不思議な出来事が続いていた序盤から、旅で出会った人からの一言が大きな意味を持っていることや、時折訪れる記憶の断片から、少年と侍の来し方を想像する。
ただの不運なのか、業なのかと考えるうち、道連れが増えていかない事にも理由があるのだと気づく。
どうすることもできない大きな力との対峙で知る過去より、今のお互いのことを信じることで、冒頭では絶望していた景色も楽観できるようになっていて、不思議な国々も旅の面白さだと感じられるようになる。